長野県は黒部ダムにいってきました。

圧倒的な大きさの人工物に圧巻されましたが、それ以上に、その歴史に感銘を受けました。

戦後の電力不足解消のため、前人未到の地の開拓に踏み切った関西電力率いる5つの会社が力を合わせ、苦心の末に完成させたこのダムは、その完成にいたるまでの過程が壮絶です。
山を削る中で最大の困難である80メートルの破砕帯は、摂氏4度の地下水が毎秒660リットルで土砂とともに噴き出す難攻不落の道です。掘った先から水と土砂で埋まっていき一時はダム断念の声も上がりました。しかし、技術と経験を集結し、見事7ヶ月で通過することができました。
ダム完成まで実に7年、述べ1000万人の人員と513億円を費やし、その英姿を見せることになりました。
しかし、その完成した姿を見ることができなかった方々がいます。
171名もの方がダム建設中に殉職され、黒部ダムの隅に雄然と佇む慰霊碑には、殉職者全員の名前が刻まれています。
わかりにくいところにあるせいか、観光客はまったくいませんでしたが、もしダムを訪れた者がその歴史を知ったとき、一番の見所はダムから慰霊碑へと変わることでしょう。

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