北海道の檜山地方で、障害のある人たちを対象とし、観光に来てもらおうという様々な取り組みが進んでいる。モニターツアーが実施され、バリアフリー対応の観光施設の情報を集めたパンフレットもできた。取り組みを後押しする道檜山振興局の千葉修くらし・子育て担当部長は「バリアフリーを打ち出して観光客を誘致するだけでなく、地域ぐるみで障害者や福祉への意識を高めていく狙いもある」と話す。
道檜山振興局は10月31日、今金、せたな両町の障害者や高齢者を対象に、バリアフリーの日帰りバスツアーを企画した。車いす使用者3人を含む13人が参加。車いす用の昇降装置を備えた車両を含むバス2台に分乗し、江差町の江差追分会館・江差山車会館、ぷらっと江差、乙部町のバリアフリーホテルあすなろ、元和台海浜公園などを訪れた。いずれも、トイレやスロープなど、車いすの人が利用できるバリアフリーの設備がある。
振興局がバリアフリー観光に取り組むきっかけになったのは、閉鎖された乙部町内の元ホテルの譲渡を受けた江差福祉会が2015年、「バリアフリーホテルあすなろ」を開業したことだった。建物内の段差をなくし、車いすのまま入れる浴槽を設けるなどの改装を施した。
「移動に支障があって旅をあきらめている人に安心して旅をしてもらえる地域にしていこう」と檜山振興局は16年から、「あすなろ」などバリアフリー化されている観光施設を結んだモニターツアーを域外の障害者らを対象に実施してきた。今回は、こうした取り組みを住民に意識してもらおうと、初めて地元の人たちだけを対象にした。