十勝川温泉の収容人数はおよそ2,800人。宿泊客はピークの20年前には延べ70万人でしたが、2015年度は43万人に減少しました。観光客数は140万人とピークとほぼ同じ水準に回復していることから見ると落ち込みが目立ちます。
ガーデンスパ十勝川温泉は、宿泊施設ではありませんが、既存のホテルとパイの奪い合いの心配はないのでしょうか?
期待するのはインバウンドと滞在日数の増加です。
海外客の宿泊数は、7万3千泊あまり。2015年度は5割以上伸びましたが、全体に占める割合は17%。登別や洞爺湖などの温泉地に比べるとその比率は半分以下です。
水着で利用する施設にしたのも海外客を意識してのことです。
滞在日数を増やすため、体験型観光にも力を入れています。8年前から十勝川でゴムボートに乗って野鳥を観察するツアーを続けています。オオワシなどがみられると人気になり、宿泊客が少ない冬の集客対策として定着しました。
ガーデンスパのもうひとつの目玉は食です。
十勝名物の豚丼や地元産小麦を使ったパン店、チーズをふんだんに使った料理や、アイスクリームなどを提供する飲食店など5店が入居しています。
国内では珍しい食の体験ができる場所も設けられました。
モール温泉を飲ませて飼育したモール豚は、柔らかい肉質が特徴です。その「もも」を丸
ごと使った生ハム作りです。帯広畜産大学の研究成果から生まれたマニュアルを活用しています。
その他にもモール温泉で表面を磨く、チーズ作りなども体験できます。
同じ通りには一足早くレストランがオープンしていました。
芽室町の肉牛農家と北洋銀行が出資した企業が運営しています。
ウイシアの柏葉社長は芽室町のオークリーフファームで4,000頭の肉牛を飼育しています。
レストランでは自社の未来めむろ牛の他に十勝産の牛肉や野菜も提供しています。
ガーデンスパを運営する旅館協同組合は、日本版DMOに登録されました。市町村単位では道内4カ所のうちのひとつで、観光地を経営する視点から地域づくりにあたり、稼ぐ力を引き出します。
8月の台風の影響で、十勝川温泉は8,000泊以上のキャンセルが出るなど、風評被害に悩まされています。そうした中ですから、このガーデンスパには非常に大きな期待が寄せられています。