小学校でのウサギやニワトリの飼育が減少しつつある中、川崎市獣医師会(木村真治会長)が命の大切さを学んでほしいと、モルモットのホスティング(貸し出し)事業に取り組む。今秋から東住吉小、上丸子小、鷺沼小、上作延小の4校をモデル校として実施する。

命の尊さ学んで

 学校飼育動物を巡っては、猛暑下での動物の体調管理、においや鳴き声の問題、教職員の負担軽減などが減少の理由に挙げられる。

 市教育委員会が2020年度に小学校飼育状況のアンケートを実施したところ、動物を飼育している小学校が114校中、64校と回答。25年度は115校中、29校にまで半減した。

 こうした中、市獣医師会は昨夏から、夏休みや冬休みの期間中、動物愛護の観点から学校飼育の一時預かりの取り組みを開始。一方で子どもたちに命の尊さを学ぶ機会をつくる必要性を痛感し、モルモットのホスティング事業の実施を決めた。同様の事業は愛知県などで行われているが、神奈川県内では初とみられる。モルモットはウサギに比べて体が一回り小さく、室内飼育ができるメリットがあるという。

 今回取り組むホスティング事業では、モルモットと飼育ゲージ、エサ代は獣医師会が負担。「貸し出しにすることで学校側はいつでも返却でき、学校や教員側が状況に応じた対応が可能となる。獣医師会が所有することで、定期的に学校を訪問して健康チェックを行うことができる」と木村会長。専務理事の岩佐保宏さんは「モルモットの寿命が6年程度であることから子どもたちの入学から卒業まで一緒に過ごすことができるとの期待もあり、ハムスターよりもモルモットが最適と考えた」と説明する。

 モデル校となる鷺沼小学校では昨夏に2匹のウサギが亡くなったことで飼育委員会の子どもたちの精神的負担もあったという。新たなウサギの購入を検討していたところ、同会からモデル校の依頼があった。小林美代校長は「アレルギー対策や飼育場所の確保などの課題はあるが、多くの児童の笑顔につながれば」と期待を寄せる。

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