過酷な外の暮らしから一転、安心できる家猫生活へ
元気な様子でこちらを見つめるテンちゃん【写真提供:家猫と元庭猫の日記(@ieneko7nyans)さん】
保護ねこの名前は「テン」ちゃん。かわいらしいお名前は、保護した日に連れて行った、病院の待合室ですぐに決まったそうです。保護当時の状況について、飼い主さんは詳しく教えてくれました。
「知人が外出中に、道路脇で横たわってまったく動かないねこを発見し、すぐに私に連絡してきました。私はとりあえず、ねこちゃんを炎天下から日陰に移して、体を冷やすなどの応急措置をお願いすると、急いで車で現地まで駆けつけました。距離にして7キロ、連絡を受けて30分くらいで合流したと思います」
飼い主さんが駆けつけるまで、知人はずっとねこを見守ってくれていたそう。途中、起き上がって逃げようとする素振りもありましたが、フラフラだったため、すぐにコテンと倒れてしまったといいます。
「ぐったりして、口から泡のようなヨダレが出て、目には涙が溜まった状態でした。保護する際に洗濯ネットへ入れるのですが、目力も弱く、抵抗せずにすぐ保護できました。このときは、もうこの子はダメかもしれない。ならばせめて最後は安らかに、名前をつけて家猫として見送ってあげたい。病院に行くまでの車を運転しながらそう考えていました」
動物病院での診察の結果、テンちゃんは脱水症状と貧血と診断されました。さらに血液検査で猫エイズ陽性であることが判明。そのために血液がうまく作れず、白血球値が基準の4倍も高く、食欲不振や脱水症状、貧血を引き起こしていたのです。しかし、テンちゃんの生命力は驚くべきものでした。
「保護から3日後には自分でごはんを食べるまで回復してくれて、5日後にはごはん待ちで小さくニャーと鳴けるように回復してくれました。獣医さんもびっくりの回復でした」
「たくさん楽しいことをして、苦労知らずで生きて欲しいと思っています」
「苦労してきた分、これからはたくさん楽しいことをして、苦労知らずで生きて欲しいと思っています」と、テンちゃんへの思いを語る飼い主さん。そんな飼い主さんは、ねこの保護活動を続けており、テンちゃんは6匹目の保護ねこだといいます。
「保護活動なんてたいそうなものではなくて、ねこが好きな個人が目の前の、手の届く範囲の野良の子をできるだけ保護して、ずっとの家に繋げたい。そう思っての行動です」
現在、飼い主さんは一軒家で、テンちゃんを含めた8匹のねこたちに囲まれて暮らしています。テンちゃんは口内などの継続的な治療が必要なため譲渡はせず、飼い主さんが生涯面倒を見る予定だそうです。テンちゃんは隔離生活になるものの、これからも愛情をたっぷり注いでいきます。
○取材協力:家猫と元庭猫の日記(@ieneko7nyans)さん
(Hint-Pot編集部)