保護活動を始めるきっかけとなった子猫

インスタグラムで12万9000人のフォロワーを持つ漫画家のtamtamさんは、行き場を失った犬や猫を家庭で慣らしてから新しい家族を探す「一時預かりボランティア」を個人でやっている。     
保護活動を始めたのは、拾った地名にちなんで、「たんば」と名付けた子猫がきっかけだった。けれどもたんばは猫白血病で、出会いからたった2週間でこの世を去った。

tamtamさんはたんばが生まれ変わって、自分のもとにまた戻って来ることを願い、たんばのような小さな命を拾い上げる、動物の保護施設の職員という道を選んだのだと、初の自著『たまさんちのホゴイヌ』(世界文化社)に書いている。

その後、保護施設やブリーダー犬舎で働きながらも、残酷な現実から目をそらすことなく、出産後は保健所からの犬や猫の「一時預かりさん」を個人で始めた。2018年に自身の経験をマンガに描いてインスタに投稿し始めると瞬く間に話題となった。これがきっかけとなって、『たまさんちのホゴイヌ』『たまさんちのホゴイヌ2』『たまさんちのホゴネコ』(すべて世界文化社)を、今年の1月には最新刊『たまさんちのホゴネコ2』(tamtam著/世界文化社)を出版した。

『たまさんちのホゴネコ2』(tamtam著/世界文化社)

本記事は、その最新刊に収められている「顔を半分失った猫」のエピソードを紹介する短期連載の第5話になる。

これまでの話を読む。      
第1話 「顔が半分ない猫がいるんです」住宅街でうずくまるボロボロの猫を見つけた親子が通報した先      
第2話 自己やケガなどで動けなくなっている猫を見つけたら…保健所やセンターに収容された障害猫の未来      
第3話 「顔の半分がない」と通報を受けて保護した猫に「いのり」と名付けた愛護センター職員たちの願い     
第4話 顔を半分失くしたボロボロの猫が救出後に「鳴くようになった」ことを職員たちが奇跡と喜ぶ理由

重傷を負いながら生きる意欲を見せ…

長崎県佐世保市の住宅街で発見され、愛護センターに保護されたその猫は、顔の半分が壊死しており、獣医師も言葉を失うほどの重篤な状態だった。応急処置を受け、なんとか命をつないだものの、行政施設という立場上、収容数や予算、「適正譲渡」の基準という現実的な壁が立ちはだかる。たとえ助かったとしても、殺処分の可能性がゼロとは言い切れない。

それでも猫は、旺盛な食欲と、慣れない治療にはシャーシャーと抵抗し、生きる意欲を見せた。その力強い意思表示は、職員たちの心を動かした。

職員は、その猫のように、お腹を空かし、傷を負い、誰にも知られずにどこかで苦しんでいる多くの猫たちが助かって欲しい、みんな幸せになって欲しいという願いを込めて、その猫に「いのり」と名付けた。

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