ペットとの同伴入居 特別な事情がない方が最近の主流に それは夢に一歩近づいたあかし

今年1月に入居した猫のミーちゃん(「さくらの里山科」で)

 ペットと暮らせる特別養護老人ホーム「さくらの里山科」に1月末、吉野幾代さん(仮名、90歳代、女性)と愛猫のミーちゃんが入居しました。ミーちゃんはとってもかわいい三毛猫の女の子です。野良猫だったのを吉野さんが保護したので、正確な年齢はわかりませんが、推定7~8歳です。

 吉野さんとミーちゃんの入居には特別な事情はありませんでした。吉野さんは、よく庭に来る、人懐っこい野良猫だったミーちゃんといつしか一緒に暮らすようになり、幸せな“2人暮らし”を送っていました。ところが、体がだんだん不自由になり、車いすが必要になった時に、当たり前のようにミーちゃんと一緒に入居したのです。

ペットとの同伴入居 特別な事情がない方が最近の主流に それは夢に一歩近づいたあかし

チビ子ちゃん(左)と保護犬出身のGinJ君(右)(「さくらの里山科」で)

 同じように、昨年 8月に同伴入居した大沼和子さん (仮名、80歳代、女性)と愛犬のチビ子ちゃんにも特別な事情はありませんでした。当初、犬の入居枠の空きがなく、大沼さんだけ先に入居していただき、チビ子ちゃんが入居できるのを1年間待ったということはありましたが、大沼さんとチビ子ちゃんは普通に暮らしていて、普通に入居しました。

重度の認知症、難病…かつては特別な事情が多かった

 このように「特別な事情がない」ということを強調するのは、かつては特別な事情がある場合が多かったからなのです。

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アミちゃん(「さくらの里山科」で)

 「さくらの里山科」が開設した 2012年、同伴入居第1号 となったのは、田中久夫さん(仮名、入居時90歳代、男性)と愛犬アミちゃん(ダルメシアンの女の子、同推定8歳)でした。田中さんは重度の認知症で生活能力が失われており、このままでは餓死や凍死する恐れがあると市の職員が特養への入居を強く勧めていましたが、「アミを置いてはどこにもいかない」と入居を拒んでいました。認知症のせいでいろいろなことがわからなくなっても、愛犬のことだけはしっかりと認識していたのです。「さくらの里山科」が開設すると、「アミちゃんと一緒に行けるなら」と入居を納得してくださいました。ホームで2年間アミちゃんと暮らし、アミちゃんを抱きしめて“ 看取(みと) り”ました。

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チロ君(左)と親友のルイ君(右)(「さくらの里山科」で)

 2015年に愛犬のチロ君(ポメラニアンの男の子、入居時8歳)と一緒に入居した伊藤大吉さん (仮名、入居時80歳代、男性)は、末期がんで余命3か月という状況でした。「残された時間が短いならチロと一緒にいたい」と言って、治療も延命措置も入院もホスピスも全て拒んで、当ホームに入居したのです。「さくらの里山科」で10か月近く生きることができたのは、チロ君と一緒だったからだと思います。

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猫の祐介君と飼い主の後藤昌枝さん(仮名)(「さくらの里山科」で)

 また、持病のため、愛猫の祐介君(男の子、入居時7歳)を残してしまうことが心配で、拒食症になってしまった後藤昌枝さん(仮名、入居時60歳代、女性)は、「この子を置いて逝ってしまうよりは、一緒に死のう」とまで思いつめていました。 2013年に同伴入居して 、祐介君の心配がなくなると見違えるほど元気になりました。

 とってもかわいい 愛犬ナナちゃん(キャバリアの女の子、入居時3歳)の飼い主の渡辺優子さん (仮名、入居時80歳代、女性)は、進行性核上性 麻痺(まひ) という難病を患っていました。病気のせいで立てなくなり、家の中をはって暮らしながらも、ナナちゃんの面倒を必死で見ていました。「さくらの里山科」に入居したのは2016年のことです。入居後は、ナナちゃんと一緒に少しでも長く暮らしたいと希望し、リハビリに励みました。進行性核上性麻痺を専門とする主治医の先生が「この病気で、こんなに長く元気だった人を見たことがない」と驚くほど元気になりました。

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ナナちゃん(「さくらの里山科」で)

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