鉄道ジオラマの上を走る列車を追いかけて猫パンチしたり、日当たりの良い場所を見つけてのんびり昼寝したり、広い店内を追いかけっこする非日常の風景に、現代人が一時の癒やしを求めにやってくる。「大阪文化館・ジオラマ食堂 Cats Wonderland Osaka-bay」(大阪市港区)だ。
「Cats Wonderland Osaka-bay」が入っている「大阪文化館・天保山」
「大阪文化館・天保山」2階にある同店には本格的な鉄道ジオラマが設置され、精巧な鉄道模型が走るなか、訪れた客はジオラマの上で遊ぶ猫たちと戯れたり、写真を撮ったりできる。
店に出ている猫たちは性格が穏やかで、人慣れしている猫には直接触れてもいい。ただし、猫パンチを食らうのは自己責任だ。
入店していちばん日が浅い子猫のニナくん(大阪文化館・ジオラマ食堂)
「ジオラマ食堂」の物語は、大阪・天王寺区の寺田町から始まる。オーナーの寺岡直樹さんは、店内に鉄道ジオラマがあるレストラン「ジオラマ食堂」を営んでいた。鉄道ファンでにぎわっていたが、コロナ禍で客足が途絶えて倒産寸前の危機に陥っていた。
キャットタワーのてっぺんでドヤ顔の「こじろう」くん(大阪文化館・ジオラマ食堂)
そんなある日、店の前に現れた母子猫を保護し、子猫たちがジオラマの上で遊ぶ姿をSNSに投稿したところ大バズリ。「鉄道ジオラマの上で猫が遊んでいる食堂」として話題になり、多くのメディアにも取り上げられて猫好きのお客さんが殺到。倒産寸前だった店は、経営危機を脱したのだった。
日当たりの良い場所でお昼寝中(大阪文化館・ジオラマ食堂)
その後、三重・伊勢市に「伊勢ジオラマ食堂・にゃんこキングダム」を展開。それが店舗物件の契約終了に伴い2024年5月に閉店し、猫たちの新たな行き場として同年7月20日、天保山に「Cats Wonderland Osaka-bay」をオープンしたのである。
オープン当初は、伊勢で比較的仲の良かった5匹でのスタートだったが、寺田町から引っ越してきた猫が加わって現在は25匹いる。
ジオラマの全景(写真手前でしゃがんでいる人物が岡村さん)
■ 万博期間中は、海外パビリオンのスタッフも癒やし求め
天保山代表の岡村和明さんは、「寺田町の店と違うところは、うちでは食事を提供しないので、猫と戯れられる場としてご利用いただけたらありがたいです。猫と触れ合うのが初めての方でも楽しんでいただけますし、ジオラマのほかに、こたつやプラレールも置いています」と話す。
プラレールがちょうど良いアゴのせ台に(大阪文化館・ジオラマ食堂)
客層はカップルや家族連れのほか、ひとりで訪れる猫好きの人も多いそうだ。2025年に開催された『大阪・関西万博』の期間中には、近隣に宿舎があった海外パビリオンのスタッフも休みを利用して訪れていたという。隣接する「海遊館」(大阪市港区)の待ち時間が3~5時間と長くなったときには、ふらりと立ち寄る人もいるんだとか。
床で猫と戯れることもできる(大阪文化館・ジオラマ食堂)
■ 「猫の日」には、寺田町で保護猫の譲渡会も
店にいる猫はすべて保護猫で、里親を随時募集している。寺岡さん曰く、猫に経営危機を助けられたから不幸な猫を減らしたい。「猫への恩返し」なのだそうだ。
新幹線の横で大きなあくび(大阪文化館・ジオラマ食堂)
万博会場が建設される前、夢洲にあったコンビニのゴミ捨て場から地元の保護猫団体が捕獲し、縁あって天保山にやって来た「シンシア」と名付けられたメス猫がいる。折しも取材に訪れた日は、里親希望者のもとでトライアル中だったが、その後正式に譲渡が決まったとのこと。
取材時、里親候補のもとでトライアル中だった「シンシア」(大阪文化館・ジオラマ食堂)
寺岡さんも岡村さんも、不幸な猫を1匹でも減らしたいと願っている。2月21日・22日「猫の日」には、保護猫の譲渡会が寺田町の店舗でおこなわれる。
大阪文化館・天保山内5階にオープンする「お菓子ミュージアム天保山」
2025年12月、「大阪文化館・天保山」の5階に「お菓子ミュージアム天保山」がオープンした。これまで以上に子どもの出入りが多くなるため、「猫」と「お菓子」の相乗効果で良い流れができるかもしれない。
皆さんのお越しをお待ちしておりますニャ(大阪文化館・ジオラマ食堂)
営業時間、11時~18時。予約不要。料金(60分)、6歳以上1800円、3歳~5歳1500円(2歳以下は無料)。
取材・文・写真/平藤清刀
