当団体は、犬・猫関連の方などからご支援いただくことが多いと思います。
そのような方に向けても、鳥ってそうなんだぁという内容もお伝えしていけたらいいなと思っています。
鳥さんの飼い主さんたちにおかれましては、すでにご存知のことばかりかと思いますが、振り返りなどにお役立ていただいたり、もちろん、今回緊急保護した8羽の鳥たちの近況を知っていただけましたらうれしいです。
保護直後、まず最優先で取り組んだのは「命をつなぐための環境づくり」でした。
急激な環境変化は、鳥にとって大きなストレスになります。
環境の変化により、エサを食べてくれないことも十分にあり得ます。
そのため、移動後、静かな環境を整え、安心して食べて休める状態をつくることから始めました。
最初の課題は、安心・安全な環境を整えることでした。
オカメインコ1羽とセキセイインコ4羽が同じケージに入っていたため、
それぞれを1羽ずつに分けることにしました。
幸い、ケージを寄付してくださった方がいて、すぐに対応することができました。
フィンチ(文鳥、カナリア、コキンチョウ)たちは元々1羽ずつケージに入れられていましたが、新しいケージにお引越ししてもらいました。
1羽ずつに分けた理由は、健康管理のためです。
フンが「誰のものか」分かるようになり、体調の変化に気づきやすくなります。
また、エサをどのくらい食べているのかも個体ごとに把握でき、
食欲の低下や異変にも早く対応できるようになります。
過去に、病院で健康診断を受けたことがあるのかすらわからない鳥さんたちです。まして、感染症の検査を受けたかもわかりません。病院に行くまでにまずはしっかりと食べてもらい、このコたちのいつものフンの状態を把握することにしました。
エサの準備をしているところを敢えて見てもらい、スプーンや手に慣れてもらっている様子
次に取り組んだのは、食事の見直しです。
部屋に残されていたエサや袋から、主食はシードだったことが分かりました。
ビタミンやミネラルが補われていたかは不明で、栄養バランスには不安がありました。
そこで、
・ビタミン・ミネラルの追加
・ペレット(総合栄養食|犬にとってのドッグフードのような存在)の導入
を行いました。
フィンチには粉状に、セキセイやオカメには粗く砕いて与えたところ、
全員がしっかり食べてくれました。
「食べる」という行動は、生きようとする力そのもの。
その姿に、私たちの方が励まされました。
今の時点での鳥さんたちの大好き!な食べ物はカナリーシードのようです。2位は粟穂かなというところです。
鳥さんの大好き!な食べ物ランキングを把握しておくと、いろいろな場面で役立ちますので、ぜひ探っていただけたらと思います。
本当の健康状態を知るには、獣医師の診察が欠かせません。
できればすぐに病院へ連れて行きたかったのですが、
年末で遺伝子検査の検査機関がお休みだったため、
年明けに健康診断と遺伝子検査を行うことにしました。
私はバードトレーナーであり、獣医師ではありません。
できるのは、日々の様子を丁寧に観察し、異変に早く気づくことです。
保護直後の観察では、
・便の状態はおおむね良好(ピースケ@オカメインコはやや水っぽい)
・食欲あり
・動きは活発
・大きな外傷は見られない、羽がよじられていたり明らかに状態が悪いようには見えない(栄養は足りてなさそうな羽艶)
・セキセイインコ1羽の左足が使いづらそう、別のセキセイインコの足の指の爪が1本ない状況
・みんな無理なクリッピングがしてある。
・ピースケ@オカメインコの翼の一部が切れている(自分で齧ったのか、一緒にケージに入っていたセキセイインコ4羽に齧られたかは不明)
・行動面では、手が近付くと怖がる。でも顔を近づけると逃げるそぶりを見せない。ケージのすぐそばにいてもエサを食べる余裕はある。
という状態でした。
この様子から、病院に予約を入れた時も確認しましたが緊急性は低いと判断し、年明けの診察を待つことにしました。
何よりも心強かったのは、
みんながとにかくよく食べ、よく動いていたことです!
びっくりするくらい食べます!かえって、おデブにならないか心配になるくらいです。
鳥さんたちに関して、不確定な要素は多い中でも、
“今、生きようとしている力”がはっきり感じられました。
さらに驚かされたのは、環境音への強さでした。
掃除機の音、近くを走る電車の音――
多くの鳥が怖がる音にも、パニックを起こすことなく耐えてくれました。
「掃除機かけるよー!」と声をかけてから動かすと、
少し体を細くします(警戒している状態)が、暴れることはありませんでした。
きっと、
窓が開いたまま外の音が入り、
いろいろな人が出入りする中で、
不安と寒さに耐えながら、生き延びてきたのでしょう。
その姿は、まさに“生き抜いてきた命”だと感じます。
これからは、健康確認と並行して、
次の家族へつなぐための準備も始めていきます。
・人の手に慣れること、目標は「人馴れ」
・体重測定ができること
・環境の変化に少しずつ対応できること
どれも、里親さんのもとで安心して暮らすために欠かせないステップです。
命を守るというのは、
ただ「生かす」だけではなく、
「この先も安心して生きていける道をつくる」ことだと思っています。
この子たちが、
“守られる存在”から“愛される家族”へとつながっていくまで、
一歩一歩、丁寧に進めていきます。
体は小さいですが、存在感「大」のコキンちゃん@コキンチョウ
次回からは鳥さんたちの紹介をしてまいります。
引き続き、見守っていただけましたらうれしいです。
とり部
柴田祐未子(バードトレーナー・バードシッター)