【1月6日 東方新報】2025年12月初旬のある朝、江蘇省(Jiansu)南京市にあるスタジオで、ペット服デザイナーの丁晨晨(Ding Chenchen)さんは、マルチーズの胸回りに柔らかなメジャーをそっと回し、背丈や胸囲などのサイズを丁寧に測っていた。

これは、自身のブランド「OHOH」のペット服の型紙づくりに必要な基礎データを集める日常の一コマだ。スタジオの壁には、完成した小さな服が所狭しと掛けられている。

体育教育を専攻していた丁さんが、3年前に偶然ペット服作りの講座に触れ、趣味を仕事に変えた。「以前は家族にも理解されませんでした。『ペットに服なんて必要なの?』と。でも今では、これは社会に認められつつある新しい職業の道になっています」と語る。

「第15次五か年計画」の提言では、消費の喚起と質の高い消費財・サービス供給の拡大が打ち出された。11月25日には、工業・情報化部など6部門が策定した「消費財の需給適合性を高め、消費を一段と促進するための実施方案」において、ペット関連商品、アニメ、ファッション雑貨などの「趣味消費」分野の育成が明確に示されている。

阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)傘下の工場直結型ECプラットフォーム「1688」によると、2024年のペット陪伴関連商品の検索数は前年同期比63.1%増となり、市場の盛り上がりと産業上流の活力を映し出している。

ペットの体型に合わせて服を仕立てることは、丁さんの仕事の出発点であり、この業界が専門化へ向かう最初の技術的ハードルでもある。「ダックスフンドは胴が長く、フレンチブルドッグは胸が広く背が短い。市販のフリーサイズでは合わないことが多いのです」。起業当初、丁さんは長期間ペットショップに通い続け、正確な採寸データを蓄積してきた。

しかし、より大きな壁はサプライチェーンにあった。完成度の高いデザインと試作品を持って工場に依頼したものの、最初に納品された量産品はサンプルとは大きく異なり、取引先と連絡が取れなくなって投資が無駄になることもあった。

転機はオンラインだった。小ロット生産や柔軟な発注に対応する工場をプラットフォーム上で見つけることができたのだ。「私たちのような立ち上げ期のブランドにとって、柔軟性と信頼性は何より重要です」と丁さんは話す。

彼女と取引のある小規模工場の責任者は、「丁さんのような若い起業家は多い。発注量は多くないが、デザインや仕上がりへの要求は高い。規模は小さくても試作を重ねて一緒に作り込めるのが強みで、多くのオリジナルブランドの立ち上げを支えてきた」と語る。

安定した供給体制が整い、ブランドが軌道に乗ると、丁さんのもとには「ペット服を学びたい」という問い合わせが相次ぐようになった。「市場はすでに細分化され、一人ではすべてのニーズに応えきれません」。そこで彼女は今年半ば、南京市で対面式のペット服デザイン講座を開設。15日間の体系的な講座には、90年代・2000年代生まれの若者が多く集まり、ほとんどがブランドやスタジオの立ち上げを目標としている。

ペット服の需要は、見た目重視から機能性重視へと進化している。その変化を実感したのが、ペット服デザイナーの湯圓(Tang Yuan)さんだ。今年10月、氷点下十数度の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)アルタイ地区を訪れ、2匹のダックスフンドのために厚手のコートや防寒インナーなど数十着を用意した。「最初は震えていましたが、合った服を着せるとすぐ慣れました。今では、服を着せないのは自分が裸で外に出るようなものだと思います」と笑う。

猫6匹、犬3匹と暮らす湯圓さんは、2023年からスポーツブランド「リーボック」のペット向け製品を扱い、今年8月には自身のブランド「抚拍」を立ち上げた。中小型犬向けの、個性的で機能性を備えたデザインが特徴だ。

「今の若い世代はペットを家族として考え、自分が着たい服をペットにも着せたいと思っています。科学的な飼育や機能性への関心も高い」。抖音(Douyin)では、製品の機能や着用シーンを動画で紹介し、毎シーズンの新作は多くの注目を集めている。

抖音のECデータによると、ペットを細やかにケアする消費スタイルが定着する中、ペット服、スマート機器、玩具、サプリメントなど「情緒的価値」を重視した商品の需要が拡大している。2025年1~12月のペット服の1日当たり取引額は前年比85%増、販売商品数は113%増となった。

「これは単なるビジネスではなく、若者が生活観を表現し、感情的なつながりを得る手段でもあります」。ペット同伴可能な交通手段や商業施設の増加など、新たな消費シーンの広がりが、機能性とデザイン性を兼ね備えたペット服への需要を押し上げると同時に、より専門的で細分化された職業分野を生み出している。

工業・情報化部情報通信経済専門家委員会委員の盤和林(Pan Helin)氏は、「ペット経済の拡大は、国民の感情消費ニーズの高まりを如実に示している。多くの人がペットに求めるのは、陪伴や情緒的価値であり、これは所得水準の向上に伴い、消費が精神的領域へ広がっている証だ」と分析する。

一方で盤氏は、若者に多様な就業機会をもたらす一方、長期的には専門性こそが職業の基盤になると指摘する。「雇用創出はペット経済の社会的価値だが、最終的に必要なのは専門技術による競争力だ。業界の健全な発展には、一定の参入基準やサービス規範の整備が急務だ」とし、「若者の知恵を生かし、専門人材を組織化して、この新興分野にふさわしいルール作りを進めるべきだ」と語っている。(c)東方新報/AFPBB News

 

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