フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄ラジオマガジン』。12月15日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏と、殺処分のないドイツのペット事情についてトークを繰り広げた。

マライ「今日は、殺処分ゼロ達成後、ペットを取り巻く状況は幸福に包まれるのか?っていうテーマです。南ドイツ新聞に、犬の一生、救われたはずの犬がずっと動物保護施設で過ごした理由という記事があったんですね。どういう話かというと、まず前提として、ドイツの場合は飼えなくなったペットの面倒をみる施設があります。「ティアハイム」と言って、「ティア」は動物、「ハイム」はホームの意味で、動物のホームですね。ドイツは殺処分がないんです。そういうこともあって、ペット先進国と言われてますし、私もそう思います。ただ、そういう愛ゆえの難題はあったりするんです。

例えば、最近のドイツのペット業界のトレンドに、他国でかわいそうな目に遭っている動物たちを引き取る、ちょっと難民的な感じで救うみたいな、そういうものがあるんですね。ドイツで育つ犬とかブリーダーが育てる犬は基本的なしつけはされてるんですけど、外国の犬だと、もちろん野犬の場合も多いので、別にしつけはされてないんですよね。だから扱いやすいわけではなくて、トレーニングも必要だったりするんです。

そういう中で育った犬とか猫とかを引き取ったらどうなるのか?この記事では一匹の犬の話が紹介されています。典型例ですね。トルコのゴミ捨て場で育った「トゥルコ」という犬です。トルコをもじってトゥルコって名前がついたんですけど、その犬は保護されてドイツに来ました。なんだかんだあって、ティアハイムに入ったんですけど、そこで10年以上過ごさないといけなかったんです」

武田「10年…」

マライ「これは、ドイツで最も長く動物保護施設で暮らした犬の記事なんです。トゥルコはおそらく2012年にトルコで生まれました。ゴミ捨て場で育って、2015年にドイツのミュンヘンのティアハイムに収容されます。トルコからドイツに連れて帰ってきた人がいるわけなんですけど、なんで収容されたかというと攻撃性が原因なんです。とにかく人が怖い。自分のものを守ろうとしていて近づくと噛むんですね。人懐っこい犬ではなくて、ものすごく警戒心が強くて環境の変化に適応しにくい性格だったわけなんです。

でもドイツのティアハイムに、そういう犬はまあいるんですよ。そういう難しい犬でも譲渡されるケースは全然あります。なんで誰も引き取らなかったのか? ティアハイムも頑張ったんですよ。こんな犬ですって紹介文を書いて写真を撮って。経験豊富な飼い主が必要ですとか、一貫した慎重な扱いができる人とかを募集するんですね。実際に人がくるんですけど、面会希望者が現れるとケージに近づいた時点で噛んじゃうとか吠えてしまうとかやっちゃうから「やっぱこの犬はちょっとやめとこう」ってなって、トゥルコはずっとティアハイムで過ごして、里親に行ける可能性も下がってしまって、結局そこでずっと過ごすことになったってことなんですね。日本の愛護施設って、ちなみにどういうふうになってるんですか?」

武田「ボクも編集者の頃に、ペットの殺処分についての本をちょっと担当したことがあります。15年ぐらい前は、それこそ数十万匹殺処分されていて、それが見直されて、今もなかなかゼロにはなってはないんですけれども減ってきました。今は保護犬をマッチングさせて殺処分を減らそうと、少なくはなってきているとは思います。でも、こういう攻撃性があるとか、なかなか難しい動物を、どういうふうに引き取ってもらうのかっていうのは、日本だけじゃなく、いろんなところで議論されているんでしょう」

マライ「ドイツには、一番好きなペットは犬、みたいなイメージがあって、犬を飼ったことある人も多くて「ちょっと難しい犬でも自分だったら扱える」とか、そういう人が結構います。ちょっと問題を起こすような犬でも自分だったら「いけるかも?」って思ってる人はたくさんいるはいるんですけど…」

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