2011年3月11日の東日本大震災、2024年1月1日の能登半島地震……、地震大国と言われる日本は、全国各地で常に地震の脅威にさらされている。今月に入ってからは9日以降に三陸沖で地震が頻発し、一時津波警報も発令された。他にも、鹿児島やトカラ列島周辺、千葉県東方沖、北関東でも頻発し、南海トラフ地震の範囲内と想定される日向灘などを震源とする地震も起きている。9月には、政府の地震調査委員会が南海トラフ巨大地震に対して、今後30年以内の発生確率を「80%程度」から「60~90%程度以上」に改めたばかりでもある。
また、地震だけでなく、豪雨、土砂災害もたびたび起きている。近年、私たちが暮らす日本では、大げさではなく「どこで災害が起きてもおかしくない」という状況が続いている。そんな中、私たちの災害意識を高めておくことは必要だ。しかし、人はどこかで災害が起きると「備えておかねば」と関心を寄せるが、しばらくたつと忘れてしまい、実際に災害が起きたときに「あのとき、備えておけば」と後悔することが多い。
特に、課題となるのは、大切な家族である犬や猫などの「ペットとの避難」だ。一般社団法人ペットフード協会の2024年「全国犬猫飼育実態調査」(※1)によると、犬の飼育数は約679万頭、猫の飼育頭数は約915万頭で、合計すると1594万頭にも及ぶ。15歳未満の人口が2024年では約1400万人なので、子どもたちの数よりもペットの飼育数の方が多いという現実がある。それだけ多くの人がペットと暮らしているというのに、自分ごととして考えている人は少ない。果たして、あなたはいざという災害時に守る準備はできているだろうか。
熊本地震で被災動物保護に尽力した九州災害時動物救援センターを訪れたときの杉本彩さん。写真提供/公益財団法人動物環境・福祉協会Eva
「ペットは、単なる“飼育動物”ではありません。私たちの心を支え、日々を共に生きるかけがえのない家族であり、その命を守れるのは、行政でもボランティアでもなく、飼い主である私たちだけです。災害はいつ起こるかわからない。だからこそ、平常時からペット防災について考え、行動しておくことが何よりも大切だと思います」
と話すのは動物福祉向上に関する普及啓発活動を積極的に行っている『公益財団法人動物環境・福祉協会Eva』の主宰でもある俳優の杉本彩さんだ。杉本さんは、過去の災害で行き場を失った動物たちの現状や避難所の状況などを数多くヒヤリングしてききている。その中で見えてきた課題について、今回寄稿いただいた。

以下より、杉本彩さんの寄稿です。
※1:一般社団法人ペットフード協会「2024年 data 統計・資料全国犬猫飼育実態調査」
災害にあったときペットとどう行動するか?
東日本大震災では、犬と一緒に近くの学校に避難したものの、外の柱につないでいたために、犬だけが津波に流されてしまった、という悲しい出来事もたくさんあった。
また、東日本大震災後、福島第一原子力発電所の半径20km圏内の住民に避難指示が出され、双葉町は「警戒区域」に指定された。「2、3日で戻れるだろう」……、そう思った人々は、動物たちをそのまま家に置いていった。しかし、家に戻れたのはそれから40日後。首輪をしたまま息絶え、ミイラのようになった犬もそこかしこにいた。
2011年3月11日の東日本大震災で、改めて「ペットと防災」の問題が浮き彫りになった。photo/iStock
環境省は、災害時には「ペットの同行避難」を推奨している。同行避難とは、災害発生時にペットと一緒に危険な場所から安全な場所へ避難すること。つまり、「避難行動そのもの」を指す。
一方で、「同伴避難」とは、避難所などでペットを飼い主が飼養管理することを指す。避難所の室内や屋外で、飼い主とペットが一緒にいられる状態を意味する。
ただし、注意が必要だ。「同伴避難=避難所の同室で一緒に過ごせる」わけではない。全国的にみても、ペットと同じ室内に避難できる避難所はごくわずかで、同室でない場合、例えば屋外であれば、自転車置き場や物置、校舎の軒下など、屋内であれば体育館の倉庫、階段の踊り場、渡り廊下などでの飼養となるケースが多いのが現実だ。
そのため、まずは住んでいる自治体がペット同行避難に対応しているか、また同伴避難が可能かを事前に確認しておくことが大切である。「うちの地域はペットと一緒に行ける避難所がある」と思い込まず、実際に問い合わせておくことが、命を守る第一歩となる。
自分が住むエリアの避難所の状況を把握しておくことは事前にできる第一歩だ。photo/iStock
