茶トラのネコは“天然”だとよく言われるが、はたして本当だろうか。(Photograph by Christina Gandolfo, Alamy Stock Photo)

茶トラのネコは“天然”だとよく言われるが、はたして本当だろうか。(Photograph by Christina Gandolfo, Alamy Stock Photo)

[画像のクリックで拡大表示]

 電灯にぶら下がったり、キッチンのカウンターから勢いよく飛び降りたり、イヌに体当たりしたり、突然飼い主の足に噛みついたり。TikTokでは”茶トラのネコならでは”とされる奇抜な行動を撮影した動画が #orangecat とともに大量に出回り、飼い主たちは皆「茶トラはドジでがさつだが、とびきり人懐っこい」と口を揃える。

 しかし、科学的な見地から見た場合、「茶トラのネコには、別の毛色のネコとは異なる特性がある」という主張は事実なのだろうか。

 まず、茶トラというのは、ブリティッシュ・ショートヘアやシャムのような「品種」ではない。メイン・クーンからマンチカン、アメリカン・ボブテイル、サイベリアンまで、茶トラと同じようなオレンジ色の毛を持つ品種はたくさん存在する。

 これを踏まえると、オレンジ色のネコは、品種にかかわらず皆似たようなふるまいをするという主張はより奇妙に思われるかもしれない。

 しかし、2015年に学術誌「Anthrozoös」に掲載されたある小規模な研究では、匿名のオンライン調査を利用して、「人懐っこさ」という性格の特性が、ほかの毛色よりも茶トラのネコと関連付けられる割合が高いと報告された。また、同年に学術誌「Veterinary Behavior」に発表されたより規模の大きな論文でも、「茶トラのネコは、それ以外のネコとは明らかに異なる」という考えをある程度裏付ける結果が出ている。

「ネコ同士の差異の大半は品種に由来するものでしたが、毛の色と関連しているものもいくつか見られました」と、米ペンシルベニア大学獣医学部の臨床科学者で、この論文の最終著者であるカルロ・シラクーザ氏は述べている。(参考記事:「猫の代名詞のトラネコ 特徴的な縞模様はどうやってできる?」)

 たとえば、ライラック色(ややピンクがかったグレー)の毛を持つネコは、遊び好きで、分離不安を感じやすい傾向にあった。白に他の色のぶち模様があるネコは、発声のスコアが低かった。また、黒と茶色が入り混じった毛のいわゆるサビネコは、イヌに対して攻撃的な態度をとることが少なかった。

 こうしたネコの毛の色と性格の関連には、いったいどのような科学的な裏付けがあるのだろうか?

次ページ:興味深い「オレンジ遺伝子」の発見

ここから先は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」の
定期購読者*のみ、ご利用いただけます。

*定期購読者:年間購読、電子版月ぎめ、
 日経読者割引サービスをご利用中の方になります。

おすすめ関連書籍

あなたの猫を世界でいちばん幸せにする方法

猫の健康と安全をさらに万全にするために有効なトレーニングとは? データとファクトとサイエンスこそが、猫と暮らすあらゆる局面で最良の方法を選ぶ助けになる。
〔電子版あり〕

定価:2,420円(税込)

おすすめ関連書籍

Write A Comment

Exit mobile version