福島テレビ・伊藤亮太アナウンサー:「ここは福島第一原発を一望できる場所です。目をひくのは広大な敷地に数多く並んだ、およそ1000基のタンクです。原発事故から10年以上、日本が歩む復興への道の険しさを実感します」

***【多核種除去設備(AdvancedLiquidProcessingSystem)=通称ALPS】
福島第一廃炉推進カンパニー・高原憲一リスクコミュニケーター:「こちらは多核種除去設備といいまして、トリチウム以外の62核種の放射性物質の大部分を取り除く設備となっております」

伊藤亮太アナウンサー:「この設備の性能というのは、どれぐらいのものなんでしょうか?」
福島第一廃炉推進カンパニー・高原憲一リスクコミュニケーター:「国の基準を十分に満足できる浄化性能、それを満たしているということを試験等で確認してございます」

***【海洋放出に向けて】
2023年の春を目途とする原発処理水の放出開始に向けて、準備は着々と進められている。福島第一原発の沖合700メートルの地点では、海洋放出に向けたボーリング調査が行われている。

伊藤亮太アナウンサー:「今行っているボーリング調査というのは、どんな調査でしょうか?」

福島第一廃炉推進カンパニー・高原憲一リスクコミュニケーター:「ALPS処理水の放出は、沖合の1キロ先という計画がございます。そのためその1キロ先まで海底トンネルを掘削していくという計画になっておりますけれども、その準備といたしまして、海底の土壌の状態の確認をすると」

伊藤亮太アナウンサー:「今後そのボーリング調査で問題がなければ、次はどんな工程に移っていくんでしょうか?」

福島第一廃炉推進カンパニー・高原憲一リスクコミュニケーター:「海底をえぐっていくというか、トンネル工事のようなことをやっていくイメージです」

2021年4月。政府は処理水の海洋放出の方針を決定、8月には放出に向けて取り組むことも示した。その1つが『風評対策』だが、その課題も少なくはない。

経済産業省 石井正弘副大臣:「被災地に対します誤解とかあるいは偏見といったものを取り除いて、全国の方々に復興の現状と地域の魅力というものを知っていた
だくことが重要でございます」

風評対策の柱のひとつが『大消費地での情報発信』
2021月4日、東京で「処理水の正しい情報や安全性」「福島県の魅力」を発信するシンポジウムが開かれた。
モデルで女優のトリンドル玲奈さんなどが、メヒカリのから揚げを試食。招待された都内の食品流通業者などからは、好意的な意見が聞かれた。

参加者:「すごく検査をしているのも知っているので、全然怖いなっていう思いはないんですけど。そう思う方もいると思うんですけど、それにも増して美味しいから食べたいみたいな、感じになっていくといいなと思います」

参加者:「科学的な根拠みたいなところは詳しくお話を伺うことができたので、私も仕事で各法人の方にご案内する際にも、そういったお話もしてければ、どんどん誤解などは晴れていくのかなと感じております」

シンポジウムは一般向けにもオンライン配信されたが、視聴したのは約700人。
処理水の海洋放出に対して不安を持つ人たちに、どこまで行き届いたのか未知数だ。

(後編につづく)

WACOCA: People, Life, Style.