高島)
日本では今、電気代やガソリン代の値上げがその足かせとなっています。こうした値上げがわたしたちの暮らしにどう影響するのか。第一生命経済研究所の永濱利廣さんにお話を伺います。

高島)
まず気になる電気代を見ていきましょう。

板倉)
こちらは東京電力管内の標準的な家庭の電気料金なんですが、今年1月は6317円だったのが、そこからどんどん右肩上がりで上がっていき、11月には7371円、12月は7485円ということで、今年1月と比べると1000円以上も値上がりするということなんです。

高島)
8月以降から急激にぐっと上がってる印象ありますが、永濱さん。どうしてこの電気代これだけ今上がっているんでしょうか。

永濱さん)
ずばり原油価格が上がってるから。そのメカニズムとしては、発電の最大の燃料というのは天然ガスなんですが、ただ日本の場合その天然ガスの輸入の価格っていうのは原油価格に応じて決まってきます。
その原油が上がると結果的に天然ガスが上がって、遅れて電気料金が上がると。

高島)
原油とセットになって値段が決まってくるということなんですね。こうした流れというのは世界的なものなんでしょうか?

永濱さん)
今世界的にコロナ後で需要が回復している一方で、なかなか産油国の原油の増産では追いつかない状況なので世界的に化石燃料上がってます。

高島)
そうなると心配なのがこれから冬を迎えます、暖房などを使うシーズンになりますから。電気代、その家計の痛手というのがどのくらいなるのかというのは。

永濱さん)
第一生命経済研究所の試算なんですが、電気だけではなくて、ガスとかガソリンとか、そういったのも化石燃料も全部含めて去年2020年に比べて、今年2021年の平均的な家庭の年間の負担が4万6000円増える。恐らく2021年、2022年以降も上がりますから、多分さらに増えると思うんですね。こうなると消費にやっぱり影響が出てくると思いますし、今年は更に冬はラニーニャ現象で寒くなるということなんで、今年の冬は気温だけじゃなくて、お財布にも非常に厳しい、冬になるのかなと。

高島)
お財布が寒くなったその冬、乗り越えるためには、このほぼ5万円という増額どこを削っていけば?

永濱さん)
最も効果がありそうなのが今、逆に携帯料金が下がっているので、携帯の契約の見直しをしたりとか、あとは電気ガスも契約を見直せばちょっと安くなる可能性があるので、そういった工夫はできるかなと。

高島)
今年は特に携帯料金を見直す必要があるっていう感じかもしれないですね。そして、この電気代の値上げ、いつごろまで続くんでしょうか。

永濱さん)
電気料金というのは、先ほど言った通り、化石燃料に遅れて動くんです。具体的に言うと、3カ月前から5カ月前までの輸入化石燃料の値段に応じて上がります。そうなると、少なくともあと半年近くは、さらに電気料金が上がる可能性が高いかなと。

高島)
今も上がってるわけで、それが更に遅れてくる?

永濱さん)
これが遅れて3カ月後、5カ月後上がるってことです。

高島)
原油価格の高騰の影響で言いますと、ガソリン代もこのように8週連続で値上がりしているわけですが、閑歳さん、このあたり家計簿に影響はあらわれているんでしょうか?

閑歳孝子さん)
まさにあらわれていて、年始ぐらいから徐々に上がり続けています。今と年初を比べると大体1.2倍ぐらいまでガソリンの価格が上がっている。ただ一方で、電車・飛行機などそういう移動の手段(にかける費用)も最近上がっているので。
外に出たいって欲求と単価の上がりというのが同時に来てると見ています。

高島)
永濱さんは、原油価格の高騰の影響、他には、どういったところに出てくるんでしょうか。

永濱さん)
分かりやすいのは食卓です。

高島)
食卓は家計に直結してますね。

永濱さん)
お米以外、ほとんど上がると考えたほうがいい。例えば、魚の値段で言えば、船は重油で動きますから燃料費が上がります。運搬のためのガソリン代も上がる。さらに原油が上がると、温室ハウス。これも業務用ガソリンで温めたりする。これも値段が上がる可能性があり、野菜などの値段があがる。あとは納豆の容器とかタレの袋など、プラスチック系のもの。

あと、ガソリンの値段が上がると、海外では代替エネルギーとしてバイオ燃料の需要も増えるんです。その原料となる穀物の値段が上がる、例えばトウモロコシの値段が上がると、家畜のエサの値段が上がるので、乳製品の値段が上がったりとか。あと小麦の値段が上がれば、ケーキのスポンジの値段が上がるとか。大豆も上がりますから、納豆そのものであったりとか豆腐とか。

高島)
ほとんどですね。こうしてみると、”お米だけ”っていう感じですよね。

永濱さん)
お米をいかににたくさん食べるか。

高島)
商品の値段としても上がってくるんでしょうか。

永濱さん)
恐らく、全部は上がらないと思う。あまりにも値上げしてしまうと売れなくなってしまうので、かなり企業も負担するのかなと。具体的に言うと、値段は変えないで量を減らすとか。例えば魚とかは、高いサンマを使わないで別の魚にするとか。ただ企業への負担は、回り回ってそこで働いてる人のお給料が減るとか、雇用が奪われたりとかする。原油が上がるってことは何かの所に負担がいくということ。

板倉)
産油国は原油価格高騰を抑えるために産出量を増やしたりとかできないですか?

永濱さん)
実は産油国では、増産をしようとしているが、それが十分うまくいっていない。今、世界的に「脱炭素」にかじを切ってるわけです。ものすごい野心的な目標を立てているので、そういう中で特に、中小の産油国になかなか投資のお金が入っていかない。増産をしようとしても、増産ができない。アメリカのシェールオイルにもお金が入っていかない。そうすると増産しようとしてもなかなか出来ない。これも原油価格がより上がっている要因。

高島)
打つ手はないんでしょうか。

永濱さん)
産油国のOPECプラス会合があり、そこで仮に「さらなる増産」と決まったら下がるかもしれない。それがないのであれば、やはり日本が海外と協力して産油国に増産の要請をするとか、あとは日本も原油の備蓄を持っているので、それを放出するとか。

高島)
しばらく値上がりが続く印象ですが、見通しは?

永濱さん)
原油の需要としては、やはり北半球の冬が過ぎて春ぐらいになれば、需要が下がってくる可能性あります。そのタイミングで原油価格が落ち着いてくることを期待したいなと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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