若者の気持ちを掴んだラリーでの大活躍

500万台以上を販売した、プジョーの大ヒット作、205。洒落た見た目に適度な大きさ、開放的な車内空間で、シティ・コンパクトとして支持を集めた。世界ラリー選手権やパリ・ダカール・ラリーで、205 ターボ16が優勝したことも、若者の気持ちを掴んだ。

1983年に提供が始まった205は、当初5ドアボディのみだったが、プジョー305へ載っていたアルミ製1.6Lユニットを、スポーティな3ドアボディへ登用。燃料噴射式へ改良し、ターボ16似のボディキットを与え、ホットハッチの205 GTIは誕生している。

プジョー205 GTI(1984〜1994年/英国仕様)プジョー205 GTI(1984〜1994年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

初めは硬めの設定だったサスペンションは、自動車メディアの指摘を受け、発売から1年足らずで柔らかく再調整。乗り心地と操縦性の、素晴らしいバランスを獲得した。

初期のオプションは、パワーウインドウと集中ドアロックのみ。少し遅れて、電動サンルーフも選べるように。4速ATとパワーステアリング、エアコンを備えた仕様は、本来は日本市場向けだったものの、1991年に英国にも導入された。

現代のクルマにはない深い没入感

欧州市場では、GTIに並ぶ性能を秘めたコンバーチブル、205 CTiも提供された。ルーフが切り取られた3ドアボディは、イタリアのピニンファリーナ社によってサイドシルやフロア、燃料タンク周辺などを強化。すばしっこい走りを支えた。

フロントガラスのフレームとセンターピラー部分には、横転時に備えたロールオーバーバーを内蔵。柔らかい足回りで車重は85kg増えていたが、ソフトトップは綺麗に折りたたまれ、大空を仰ぎ見ながら運転を楽しめる魅力的な仕様といえた。

プジョー205 GTI(1984〜1994年/英国仕様)プジョー205 GTI(1984〜1994年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIやルノー5 GTターボなどの競合を牽制すべく、1986年にはシトロエンBX GTI譲りの1.9Lエンジン仕様も登場。ホイールは大径化され、リアもディスクブレーキになり、走りは更に磨かれた。

2026年に運転すれば、40年前にタイムスリップしたかのよう。現代のクルマにはない、深い没入感へ魅了されるはず。回転域を問わずパワフルで、ステアリングには鮮明な感触が伝わり、旋回時のバランスは秀抜。優しい乗り心地も、うれしい特長だろう。

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205 GTIを、自身初のクラシックカーとして購入したダン・マーシュ氏。その体験は想像以上で、2代目ゴルフ GTIの購入も考えるようになったとか。「20代前半の頃、グリーンの205 GTI 1.6に乗っていた記憶が蘇ります」。と振り返る。

「この1.9Lエンジンのフェーズ1.5は、2025年6月に手に入れました。納屋に放置されていて、ボディパネルの状態が悪く、廃車寸前でした。それでも、ブルーかグリーンの塗装でレザーシートとサンルーフの付いた、150台の限定仕様だったんです」

プジョー205 GTI(1984〜1994年/英国仕様)プジョー205 GTI(1984〜1994年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

「レストアをお願いしたのは、スプークス・モータースポーツ社。音や匂い、振動、運転体験のすべてに夢中です。現代のクルマの運転とは、まったく別物ですよ。16歳になった息子も、すっかりファンになったみたいです」

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