カカ 写真:アフロスポーツ

 ブラジル1部コリンチャンスは以前、徳島ヴォルティスからブラジル人DFカカを完全移籍により獲得も、移籍金はいまだに未払い。徳島が国際サッカー連盟(FIFA)へ提訴する事態に発展しているが、そのコリンチャンスの財政事情が明らかになっている。

 徳島は4月23日、FIFA提訴を正式に発表した。移籍金の総額は7億円規模。そして衝撃的な事実がある。コリンチャンスは分割払いで合意したにもかかわらず、これまでに1円も振り込んでいないのだ。

 ブラジルメディア『ge』は今年1月の時点で、「コリンチャンスは徳島側と合意していた分割払いの代金を、これまで一度も支払っていない」と報じていた。長期化していたこの問題の背景には、コリンチャンス経営陣が「支払いスケジュールの見直し」を名目に再交渉を試みていた経緯がある。だが進展はなく、時間だけが過ぎた。

 そもそもカカは2024年にコリンチャンスへ期限付き移籍後、ブラジル1部リーグでほぼ全試合にスタメン出場。出場条件を満たしたことで買い取り義務が自動発動し、完全移籍へ移行した。コリンチャンスは保有権の90%を取得し、2028年12月までの複数年契約まで結んでいた。選手はフル活用した。だが金は払わない。

 一方でカカがコリンチャンスからECヴィトーリアへ買い取り義務付きの期限付き移籍。つまりコリンチャンスは徳島への移籍金を滞納したまま、さらに別クラブへの売却まで進めたことになる。徳島にとっては、選手を使い倒された挙げ句、代金も受け取れないという踏んだり蹴ったりの構図だ。

 では、なぜコリンチャンスはここまで支払えないのか。ブラジルメディア『ge』が2025年12月に報じた2026年度予算が、その惨状を赤裸々に示している。

 同クラブの負債は約27億レアル(約837億円)に達しており、借金の利息に相当する金融費用だけで2026年に2億1900万レアル(約67億9000万円)を見込んでいる。放映権料やスポンサー収入などによる純収入は8億600万レアル(約250億円)が見込まれているにもかかわらず、その利息負担の重さは異常というほかない。

 経営立て直しのため、クラブは2026年に1200万レアル(約3億7000万円)の黒字、営業利益は3億2000万レアル(約99億2000万円)という目標を掲げている。達成のための手段として打ち出したのが、人件費の大幅削減だ。2025年に5億500万レアル(約156億5500万円)と見込まれるスタッフ・選手の給与支出を、2026年には4億1000万レアル(約127億1000万円)まで引き下げる計画。19%の削減、月換算で約620万レアル(約1億9200万円)を絞り出す算段だ。

 むしろ数字よりも際立つのが、資金調達の構造的な歪みである。この目標達成には選手売却が不可欠であり、保有権譲渡やFIFAの連帯貢献金を合わせて1億5100万レアル(約46億8100万円)の収入が見込まれている。つまり選手を売ることで、別の選手の代金を捻出する自転車操業に近い。徳島への未払いも、その歪んだサイクルの犠牲になったとみられる。

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