踊り場のEV市場、ホンハイはEMSモデルで虎視眈々

桃田 健史

桃田 健史
ジャーナリスト

follow
著者フォロー

フォロー中

2026.4.25(土)

 二輪車や四輪車の自動車部品と、次世代電動車に関する台湾最大級の技術見本市「TAIPEI AMPA・E-Mobility Taiwan」(2026年4月14〜17日:台北南港展示館)を訪れた。2000年代以降、台湾の自動車関連の取材を重ねてきたが、近年は電動車に関する変化が見てとれる。過去の取材も踏まえて、台湾の自動車産業界のこれからを考えた。

 羽田空港から台北市街中心部にある松山空港までは、飛行機で約3時間半。羽田空港から韓国・ソウルや中国・上海への飛行時間は3時間を切るため、台湾との距離感に対しては、「思っていたよりも少し遠い」と感じる人がいるかもしれない。

「TAIPEI AMPA・E-Mobility Taiwan」のホンハイ展示ブース(写真:筆者撮影)

 台北には、松山空港より規模が大きく離着陸数も多い桃園空港もある。だが桃園空港から台北市街への移動は1時間弱かかる。そのため筆者は以前から松山空港を優先して旅の計画を立てている。

 現地の気温は30度近く。ただし蒸し暑いという感じはしない。

 松山空港からは(日本の交通系電子マネー「Suica」のような)交通ICカード「悠遊カード(イージーカード)」を使って、台北MRT(地下鉄・新交通システム)に乗り、ホテルに向かった。

 今回も台北市内の移動はMRTを主体として、時々タクシーを使いながら、台北とその周辺で4日間を過ごした。

公共バスのEV化が進む台北

 街中のクルマの流れを見て過去数年で大きく変化したと感じるのが、公共バスの電気自動車(EV)化だ。

台北市内でホンハイのEVバス「モデルT」が路線バス専用車線を走行する様子(写真:筆者撮影)

ギャラリーページへ

 これは、台湾の国家発展委員会が2022年3月に発表した「2050年ネットゼロ排出ロードマップ」の中で示した、2030年に公共バスの全面EV化の方針に基づく。

 そうした中で導入されたのが鴻海精密工業(ホンハイ)の「モデルT」だ。2022年から台湾南部の高雄市で採用された後、台北でも導入が始まっている。

 ホンハイは、アップル、グーグル(親会社はアルファベット)、アマゾンといったIT大手を顧客に持つ、EMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)分野で世界シェアトップの台湾企業だ。従業員数は90万人以上で、年間売上高は30兆円を超える。

 そんなホンハイが、EV参入を決断したのは2010年代後半とまだ日が浅い。従来のEMS事業の成長が鈍化したことを機に、新しい分野への挑戦を始めた。

ホンハイのEV用電池パック(写真:筆者撮影)

ギャラリーページへ

 産業領域ではEV、デジタルヘルス、ロボティクスを3本柱とし、技術領域では人工知能(AI)、半導体、次世代通信を重点に置く事業戦略「3+3」を打ち出した。

 EVについては、小型乗用車から大型バスまで、幅広い分野でホンハイが自社開発する体制を敷いており、その量産第一弾が「モデルT」だ。

 なお、三菱ふそうとホンハイは今年1月に日本で共同会見を開催。両社でEV製造を行う新会社を設立し、三菱ふそう富山工場で「モデルT」の生産を開始すると発表している。同工場では、ホンハイの小型EVバス「モデルU」の製造も行う予定だ。

WACOCA: People, Life, Style.