2026年3月28日 午前7時30分

 【論説】障害者に働く喜びを感じてもらいながら、賃金向上を目指す県のプロジェクト「フクション!」がスタートして5年を迎えた。県から委託を受ける県セルプ振興センターの仲介で就労支援事業所がデザイナーと連携した商品開発や受注拡大に取り組んでいる。

 障害者が働く現場では▽工賃の低さ▽販路の少なさ▽商品開発の限界―などが課題となっている。県障がい福祉課によると、就労者が最も多い県内の就労継続支援B型事業所の2024年度の月額平均工賃は3万22円。都道府県別の全国2位で、全国平均の2万4141円を大きく上回ったものの、障害者が受け取れるのは月に約7万円(2級)の障害年金を加えても10万円程度にとどまる。

 「フクション!」は▽デザイナーによる事業所の商品力強化▽事業所と民間企業のマッチングによる受注拡大―などの柱を掲げ21年度に始まった。商品開発では県セルプ振興センターが毎年、プロジェクトに参画する事業所を募り商品化に取り組んできた。これまでに木工のブローチ、野菜パウダーを使ったふりかけなど14アイテムが実現している。

 事業所の商品は東京の県アンテナショップや県内高速道路のサービスエリア、百貨店などで販売。コロナ禍以降、売り上げは23年度が1160万円、24年度1680万円、本年度は昨年12月までで約1550万円と実績を伸ばしてきた。

 就労支援に取り組む福井市のワークハウスでは、薄く延ばした羽二重餅を食パンに載せて焼く「Have Tae TOAST(ハブタエトースト)」を開発し、製造を担う同社のA型事業所で利用者の月給が1・2倍になった。

 民間企業とのマッチングでは、県セルプ振興センターが対面でのマッチング商談会を開いているほか、企業の発注を助けるためホームページでエリア別などで事業所を検索できるようにしている。事業所はこれまでシール貼りや梱包(こんぽう)などの軽作業、農作物の収穫、動画やウェブサイト制作などを受注した。

 事業所には食品製造や加工、果樹栽培、木工品製造、独自の商品作りなど、それぞれに特色や強みがある。幅広い企業が目を向け、事業所の可能性を引き出してほしい。一方、商品開発では応募する事業所が固定化しているといった課題もある。障害者の社会参加や、やりがいにつなげるためにもプロジェクトの認知度を高め、参加を促していきたい。

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