中国は国内の銀行に米国債を売却するよう指示した。Andrew Harnik/Getty Images中国は、ボラティリティと集中リスクを理由に、米国債の保有残高を削減するよう国内銀行に指示した。エコノミストの間では、この決定の背後にある経済的および地政学的な動機について議論が交わされている。一部のコメンテーターは、米国債市場における外国人投資家の重要性を指摘した。
2月初旬、中国が国内の銀行に対し、米国債の保有を減らすよう指示したことで、「米国売り」に関する議論が再燃している。
中国の規制当局は、この措置について米国債の価格変動の大きさ(ボラティリティ)と集中リスクに関連したものだと説明しており、ドルを基軸とする金融システムそのものを批判する意図で打ち出したものではないとしている。しかし、この動きを、過去1年にわたって市場を覆ってきた、より大きな地政学的な文脈の延長線上にあるものと受け止める市場関係者もいる。

2026年も米国株は高値を維持とアナリストは予想…株価を支えている4つの要素の動きは要注意 | Business Insider Japan
ブルームバーグによれば、中国の銀行は合計で2980億ドル(約45兆6700億円)相当の米ドル建て債券を保有している。ただし、そのうちどの程度が米国債で、どの程度がアメリカ企業の社債などであるのかは明らかになっていない。
現時点で、米国債利回りへの影響は小さい。
ただし、エコノミストや市場関係者は、今回の動きが、今後の波及的な影響をめぐる懸念を高めていると指摘する。
以下に、彼らの見解をまとめた。
デズモンド・ラックマン(アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所)
アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所の上級研究員であるデズモンド・ラックマン(Desmond Lachman)は、以前から世界経済における超大国としてのアメリカの立場について懸念を示してきた。
彼は、中国の決定がアメリカにとって何を意味するかについて、深い懸念を抱いていると述べた。特に、他の国々がすでにドル建て資産からの脱却を始めている現状を危惧している。
「(アメリカは)資金調達のために、外国人投資家が米国債を買い続けてくれることを切実に求めている。外国人が米国債を売り始めるのは、最も避けたい事態だ」とラックマンはBusiness Insiderに語り、外国人投資家は米国債の発行残高の約30%を保有していると付け加えた。
「外国人による米国債の購入が落ち込むと、債券市場の混乱とドルの危機を招くおそれがある」
ブラッド・セッツァー(外交問題評議会)
外交問題評議会(CFR)のブラッド・セッツァー(Brad Setser) は、中国の今回の動きが市場に与える影響については、それほど懸念していない。彼は、この決定を「近年の苦境を経て、中国が自国経済を安定させ、アメリカのボラティリティに備えるために必要な調整」の反映だと見ている。
「したがって、グローバル投資家は、中国の通貨管理に伴う資金フローに、はるかに注意を払うべきだ」と助言し、以下のように続けた。
「最近の警告にもかかわらず、中国の政府系機関が人民元高のペースを抑制するために月間500億ドル以上もの買い入れを行っているのだとすれば、彼らが米国債市場に代わる良好な投資先を見つけるのは極めて困難だというのが私の見立てだ」
ジャイ・ケディア(ケイトー研究所)
リバタリアン系シンクタンク、ケイトー研究所(Cato Institute)のエコノミスト、ジャイ・ケディア(Jai Kedia)は中国の決定を地政学的な動きとして捉えるべきではないというセッツァーの見方に同調している。彼はBusiness Insiderに対し、中国による米国債の売却は今後も続くと予想されるものの、アメリカに甚大な悪影響を及ぼす可能性は低いとの見解を示した。
「多くの人は中国が実際に保有している米国債の価値を過大評価しすぎている。その保有額は、我々の市場を崩壊させるようなレベルには到底及ばない」
またケディアは、国債の大規模な売却が行われれば、市場に影響が出る可能性は高いと認めつつも、そのような事態が起きるとは考えていないと付け加えた。

WACOCA: People, Life, Style.