ダリにまつわる3カ所の美術館をめぐる旅に出たなら、このポルト・リガトにある作品のような、ダリの屋外作品の数々を目にするだろう。(PHOTOGRAPH BY ARIE STORM, ALAMY STOCK PHOTO)

ダリにまつわる3カ所の美術館をめぐる旅に出たなら、このポルト・リガトにある作品のような、ダリの屋外作品の数々を目にするだろう。(PHOTOGRAPH BY ARIE STORM, ALAMY STOCK PHOTO)

 スペインのカタルーニャ州にあるバルセロナは、パブロ・ピカソやジョアン・ミロなど、世界的に有名なシュルレアリズム(超現実主義)のアーティストの数々にとって拠点の町だった。建築家であるアントニ・ガウディのカタルーニャのモダニストとしての芸術的手腕は、カサ・バトリョやサグラダ・ファミリアなど、今もバルセロナ市内に見ることができる。サグラダ・ファミリアは144年の建設期間ののち、2026年にメインの建物が完成予定だ。(参考記事:「ピカソはなぜ天才なのか、脳はその絵をどう見るか」)

 シュルレアリズムの流れで、もうひとり有名な名前がサルバドール・ダリだ。その交友関係は、デビッド・ボウイやジョン・レノンからウォルト・ディズニー、ジークムント・フロイトにまで及んだという。ダリはその多く時間をバルセロナ郊外で過ごした。生まれ故郷のフィゲラスや沿岸に家のあったカダケスは、バルセロナから車で2時間ほどのエリアにある。

「ダリは自身のことを、非常に地元に根ざした人間だと考えていました」。米バージニア州のレキシントンにあるワシントン・アンド・リー大学で美術史の教授を務めるエリオット・キング氏はこう話す。

「そのため、ダリを研究するなら、ダリが言及していた場所へ実際に行き、絵に描かれた岩がそこ(旅行客が訪れられる現実の場所)にあるということを理解しないとなりません。アリもそこにいますし、描かれた人物の一部でさえ、カダケスでダリが知っていた人たちなのです」

 米国在住であれば、世界最大のダリのコレクションを誇る、米フロリダ州のセント・ピーターズバーグにあるダリ美術館に簡単に行ける人もいるだろう。(参考記事:「ピカソにダリ、有名美術館に匹敵するコレクションをもつホテル5選」)

 だが、ダリをよく知ろうとするアート好きなら、スペインへの旅は不可欠だ。バルセロナの街を出て、カタルーニャのコスタ・ブラバ地域にある、ダリに特化した一風変わった美術館を訪れよう。「ダリ・トライアングル」と呼ばれる3つの町があり、それぞれに必見の美術館がある。プボールにあるガラ・ダリ城、ポルト・リガトのダリの家美術館、フィゲラスのダリ劇場美術館だ。(参考記事:「解説:カタルーニャ独立運動の背景にある歴史」)

ガラ・ダリ城(スペイン、プボール)

ギャラリー:ダリの故郷、スペインのカタルーニャにあるダリに特化した3つの美術館 写真8点(写真クリックでギャラリーページへ)

ギャラリー:ダリの故郷、スペインのカタルーニャにあるダリに特化した3つの美術館 写真8点(写真クリックでギャラリーページへ)

ダリは、プボールにある中世の城を妻のガラに贈ったが、自身が訪れる際には妻の許可が必要だった。現在、このガラが住んでいた城は、ダリの美術館になっている。(PHOTOGRAPH BY ROBERTHARDING, ALAMY STOCK PHOTO)

 ガラ・ダリ城はもともと、1969年にダリが妻のガラにプレゼントした、プボールにある城だ。バルセロナから車で1時間半ほどの位置にある住人130人という村のプボールが、ガラの拠点となった。ここに住んでいる間、ガラは自身の自立性を主張し、有名な夫ですら書面での許可がないと城を訪問できなかった。美術館では、その招待状の束が展示されている。

 売り込みも上手な実業家で、夫のキャリアに多方面で影響を与えたミューズでありながら、ガラはしばしば謎めいた存在として扱われる。その理由は、ガラは露出が多かった割に、その私生活は隠されていた点が大きい。この城と美術館を訪れれば、表に出ることが少ないガラの人生のプライベートな部分が見えてくる。

 米オレゴン州のポートランドに拠点を置く作家で、美術史家の家系出身の「美術おたく」と自身を評するメリッサ・ロッカー氏は、家族や友人と何度かダリ・トライアングルを訪れている。繰り返し訪れる主な理由は、こうした美術館で感じられる親密さがあるからだ。

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