
思い出のグラブを手に入寮した楽天・中沢匠磨
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記者として極力、私情を挟まないのは大事なことであると認識している。それでも無条件で応援したくなる。そんな思いを抱くことも、まれにある。
昨秋の育成ドラフト3位で楽天に入団した中沢匠磨投手(22=白鴎大)は栃木県で最も南に位置する野木町の出身だ。記者の母が同町の出身。記者も子どもの頃に3年間住んでおり、今でも90歳の祖母が健在のため、年に数度足を運んでいる「第2の故郷」だ。俳優の酒井若菜(45)、お笑い芸人のつぶやきシロー(54)が同町の出身。毎年7月に行われる「ひまわりフェスティバル」では約30万本のひまわりが鮮やかに咲き誇り、来場者を楽しませている。
同町が生んだ初のプロ野球選手が中沢だ。入寮の際、記者は「野木町」トークを展開。かつてテレビ東京系「THEカラオケ★バトル」でU―18四天王として活躍した鈴木杏奈(22)の話を振ると「同じクラスでしたよ」と教えてくれた。
そんな中沢が寮に持参したのは少し古びた赤いグラブ。白鴎大足利(栃木)の寮に入る前に亡くなった母方の祖父・荒川勝男さんに買ってもらった思い出の品だ。祖父には「プロ野球選手になる」という約束をしたが、実際にその姿を見せることはできなかった。だが、そのグラブは亡くなる直前に祖父にはめてもらい、白鴎大入寮時にも持参した。しっかり使い込んでおり、もう試合では使っていないが、今でも起床後に、はめるのがルーティン。「はめると力が湧く気がする。一緒に戦いたいという思いで持ってきました」とうなずいた。
私事だが昨夏、野木町に住んでいた祖父が94歳で他界した。小2の頃に祖父を題材に「おじいちゃんはつり名人」という作文を書いた。当時、大変喜んでくれたことが、記者志望の原点となり、葬儀の際にもそれを棺に納めさせてもらった。
立場は異なるが、中沢も私も、ともに祖父への強い思いを胸に秘め、今を生きている。「打者に向かっていく強気な投球で1日でも早く支配下になって、お世話になった人に1軍で投げる姿を見せたい」と中沢。その活躍を私が報じ、野木町の名を全国に広めていきたい。(記者コラム・花里 雄太)
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