高知県内の地震への取り組みや課題を伝えるシリーズ「南海トラフ地震に備える」。今回はライフラインとして欠かすことができない“水”について考えます。

1月6日午前10時18分ごろ、島根県東部を震源とする地震があり、島根県東部と鳥取県西部で震度5強の揺れを観測しました。
この地震によって、各地で建物の一部が崩れるなどしたほか、道路が崩落するなどの被害が出ました。鳥取県南部町では町内の水源地の水が濁ったため、旧会見地区の約1100世帯に水を供給している配水タンクへの送水を停止しました。

■日本海テレビ 三好亜美記者
「地震の影響で断水が予想される南部町では、けさから給水作業が行われています」

南部町では町内の4箇所に給水所が設置され、住民は持参したポリタンクなどに水を汲み、自宅に持ち帰っていました。断水は2日後に解消されましたが、水に濁りがあり飲料水としては使用できないため給水制限が1週間続きました。

ライフラインとして欠かすことのできない“水”。1月17日で発生から31年となる阪神淡路大震災でも大きな被害が発生し、復旧までは数か月かかりました。
そして南海トラフ地震で大きな被害を受けることが予想される高知県で暮らす私たちも、これまでの教訓を生かし災害に備える必要があります。
今回はライフラインである“水”について、災害時に断水が起きた場合どうなるのかを取材しました。

高知市上下水道局によりますと、県内で震度7以上の地震が起きた場合に高知市内全域は最低でも1か月間、断水となることが想定されています。
高知市では水道管の耐震化を進めていて、2024年度時点で耐震適合性のある水道管の割合・耐震適合率は52%で、2030年度末までに65%に引き上げることを目指しています。

さらに断水が起こった場合に備えて高知市内の駅や小学校、公園など25箇所に耐震性非常用貯水槽を設置。1人あたり1日3リットルを3日分、合わせて6000人分の水を貯めておくことができます。そのほか給水車などを使って速やかに水を届けるための応急給水拠点を10か所設置して、いざという時に備えています。

続いては県内の企業の取り組みです。高知市横浜新町のアクアデザインシステム。
社長の武田良輔さんは2008年に会社を立ち上げ浄水装置の研究・開発・製造などを行っていて、これまで熊本地震や能登半島地震などの災害現場に浄水装置を持ち込んで、被災者の支援にあたりました。

その浄水装置の1つ「アクアハンディーズ」。
ポンプで吸い上げられた水が前処理フィルターを通り、水に圧力を加えることで水分子と水分子以外の物質に分ける「逆浸透膜方式」と呼ばれる過程を経て、最後に紫外線による殺菌が行われます。重さは18キロと持ち運びが可能なタイプで、1時間に120リットルの水を作ることができます。

水が蒸発したときに残るナトリウムなどの蒸発残留物質を計測して、その効果を確認してみました。水道水1リットルの数値は44。これに市販の温泉の素を入れると、178まで上昇しました。
これを浄水装置に通すと、数値が1まで減少していることが分かります。飲み水としてはどうなのか実際に飲んでみました。

■高知放送 岩本諒記者
「出てきた水は透明ですね。香りは全くしないですね。普段飲んでいる水と全然変わらないです。これなら災害時でも水として飲めそうです」

■アクアデザインシステム 武田良輔社長
「(水の確保に)1時間、2時間、3時間並びながらでも水をもらいたいっていう、やはり水の大切さっていうのは災害現場へ行くとすごく感じる。実際に災害が起こった時に(浄水装置)を使ってもらって『命をつなぐ水』ということでこの浄水装置で命を繋いでもらえれば、この事業をやっている意味があるのかなと思う」

アクアデザインシステムは、これまでに約350台の浄水装置を生産していて、このうち約250台が県内の自治体や医療施設、民間企業に導入されています。

続いて、水が思うように使えないときに家庭で使える防災商品にはどのようなものがあるのでしょうか。高知市のハマート薊野店では、安全対策グッズや食料品など幅広い商品を取り扱っています。スタッフの浜口一機さんに紹介してもらいました。

まずは「非常用トイレ」。
断水時には付属の袋をトイレにセットし凝固剤を入れるだけで水がなくても使用できる商品で、消臭袋もついているのでニオイも気になりません。そのほか段ボールでできた丈夫な簡易トイレなど、トイレ関連の用品だけでたくさんの種類が揃っています。

続いては口腔ケアグッズの「フィンガーウェッティー」です。
ウェットシートで口の中を拭き取る指サック型の歯磨きシートで、口臭予防にも繋がります。

■岩本記者
「指に装着した状態がこちらです。これはスッキリしますね。どこでも手軽にできるのでこれはいいですね」

このほかにも、水で流す必要がない「ドライシャンプーシート」や水・お湯を注ぐだけで簡単におにぎりが作れる非常食など、たくさんの防災対策商品が取り揃えられています。

■ハマート薊野店 浜口一機さん
「ライフラインに水はとても必要になってくるので、普段から水を備えてもらいたい。また断水時に必要になってくる防災グッズも準備してもらいたい」

近い将来起こると言われている南海トラフ地震では、被害が長期間に及ぶことが予想されています。過去の教訓を生かし、地震が起きた時に困ることがないように自分たちで事前にできる最大限の備えをしておくことが大切です。

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