中国でいま、たったひとつの機能しかもたないアプリが人気を博している。その名は『死了么』(スーラマ)。直訳すれば「死んだ?」という意味で、「まだ生きているか?」というニュアンスも含む。このアプリは、ユーザーに1日1回ボタンをタップするよう求め、2日連続で操作がなかった場合には、あらかじめ指定された緊急連絡先に自動でEメールを送信し、直接ユーザーの安否を確認するよう促す仕組みだ。

アプリで「生存確認」

『死了么』を開発したZ世代の開発者3人組のひとりであるグオは、これまで数年間にわたってソーシャルアプリやエンターテインメント系アプリを制作してきたという。しかし彼は、より根源的なテーマに取り組みたいと考えるようになった。「マズローの欲求階層を見たとき、安全欲求はより根本的なレベルにあり、幅広い人々に当てはまることに気づきました。それが正しい方向性だと感じたのです。」とグオは『WIRED』との独占インタビューでこう語った(なお、プライバシー保護のため、彼は名字のみでの表記を希望した)。

このアプリの実用的な機能と、名前が喚起するダークなユーモアは、中国の若者たちの心を捉え、ここ1週間でダウンロードが急増した。先週末、『死了么』はアップルの中国版App Storeで有料アプリランキング1位になった。海外のApp Storeチャートでも順位を上げているが、グオによれば有料広告には一切費用をかけていないという。「そんなお金はありませんから」と彼は語る。

バズが投資家を呼び込む

グオは『WIRED』に、『死了么』がSNSで話題になって以降、60人以上の投資家から連絡を受け、現在は資金調達について活発な協議を行っていると明かした。なかには、同アプリの親会社であるMoonscape Technologiesの株式取得のため、数百万人民元(日本円では5,000万円前後相当)を提示してきた投資家もいるという。同社はこれまでにごく少数のアプリしかリリースしていないが、数週間以内に資金調達交渉の結果を発表する予定だ。「ある程度の反響は想定していましたが、ここまでの規模になるとは、完全に予想外でした」とグオは語る。

当初、グオらはアプリ利用に対して1回限り1人民元(約22円)の支払いを設定していた。しかし今週、注目度の高まりを受けて、価格を8人民元(約180円)に引き上げた。それでもサブスクリプションが不要であることを考えれば、依然として最低限の価格設定だと言える。アプリの具体的な収益額やアクティブユーザー数については明かさなかったが、これまでに得た収益は、長期的なプラットフォーム開発に充てる予定だという。

『死了么』は、特にひとり暮らしの人たちのあいだで支持を広げている。中国における家族の平均人数は、過去数十年で大幅に減少してきた。2020年の国勢調査によると、単身世帯は全体の25.4%を占め、10年前の14.5%から大きく増加している。ひとり暮らしをしている割合が最も高いのは依然として高齢者層だが、若年層でも単身生活者が増加しており、中国企業はこの層への対応を強化しようと、デジタルあるいは対面型のサポートサービスを提供し始めている。

元の名前のインパクト

1月13日、開発チームは中国のSNS上で、『死了么』の名称を正式に『Demumu』へ変更すると発表した。グローバル市場への対応を強化するためだという。この名称は、以前から海外版アプリで使用されていたもので、中国における別のビジネス成功例から着想を得たものだ。グオによると、『Demumu』は、「死」を想起させる音と、昨年世界的に流行した中国発のキャラクターであるラブブのネーミングパターンを組み合わせたものだという。

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