《第104回全国高校サッカー選手権大会優勝🏆神村学園》“強い鹿児島をもう一度” ―有村圭一郎監督がつないだ鹿児島サッカーの未来
― 3−0完勝、積み重ねが導いた頂点 ―
6万人を超える観衆が見守る国立競技場。
第104回全国高校サッカー選手権大会・決勝は、神村学園が鹿島学園を3−0で下し、全国の頂点に立った。
試合は立ち上がりから、神村学園が主導権を握る展開となった。
鹿島学園の堅い組織守備に対し、サイドと中央を柔軟に使い分けながらボールを動かし、相手の背後を狙う。セカンドボールの回収でも優位に立ち、押し込む時間帯を作り出した。
前半19分、その姿勢が結果に結びつく。
今大会得点王に輝いた日髙 元の一撃で先制。さらに前半終盤、堀ノ口 瑛太が追加点を奪い、試合の流れを完全に引き寄せた。
守備面では、鹿島学園の攻撃に対して最終ラインを中心に冷静に対応。
跳ね返すだけでなく、その後のボールを中盤が素早く回収し、再び攻撃へとつなげる“切り替えの速さ”が際立った。相手が前掛かりになれば、ボールを動かしてプレスをいなし、試合をコントロールしていく。
後半に入っても、神村学園の集中力は途切れない。
試合終盤には途中出場の佐々木 悠太がダメ押しとなる3点目を奪取。90分を通して主導権を握り続け、鹿島学園に決定機をほとんど与えない完璧なゲーム運びで、国立のピッチに立つ意味を証明してみせた。
この一戦で示されたのは、派手さだけではない。
球際の強さ、切り替えの速さ、そして90分を通したゲームマネジメント。
積み重ねてきた「神村らしさ」が、最も大きな舞台で完成形として表れた瞬間だった。
「夏冬2冠」ー国立で掲げた優勝旗は、ひとつの到達点であり、同時に次の世代へとつながる象徴でもある。
神村学園が見せた90分は、“強い鹿児島”の現在地を全国に示す一戦となった。
“強い鹿児島を再び”ーそう掲げた有村圭一郎監督と、中盤で存在感を見せた福島和毅選手のコメントです。
《有村圭一郎監督》
Q:まずは、本日の決勝戦を振り返ってください。
有村監督:
今日のゲームは、鹿島学園さんの素晴らしい組織をどう攻略していくか、というところを前日までにしっかりと準備してきました。分析官がまとめてくれたプランをもとに、どう攻めるかというイメージを子どもたちに植え付けて試合に入れたことが、まず良かったと思います。
相手の背後をうまく取りながら、こぼれ球を押し込んで先制できたこと、PKは外してしまいましたが、ゴール前に侵入する回数もこれまで以上に増えました。前半に運も味方して2点を取れたことが大きかったですね。
守備面では、相手のロングボールに対して中野を中心にしっかり弾けたこと。そして相手が前から圧力をかけてきた場面では、ボールを動かしてプレッシャーをいなすことができました。
子どもたちがゲームプランをしっかり実行してくれた結果、3−0というスコアで勝利をつかめたと思います。
Q:決勝戦は「神村らしいサッカー」ができたように感じました。攻撃と守備、それぞれでどんな部分に神村らしさを感じましたか。
有村監督:
私たちは攻めることを志すチームだと思っています。ただ、その中でしぶとく我慢しながら守備もする。今日は攻撃しながら守備をする、という神村のスタイルをしっかり表現できたと思います。
3年生にとっては高校生活最後のゲームでした。悔いを残さないようにやろう、その思いがプレーに表れていた結果だと思います。
Q:これまで越えられなかった決勝の壁を、ついに越えました。戦術面などで、これまでとの違いはありましたか。
有村監督:
特別に何かを変えたということはありません。
サイドから攻める、サイドが空かなければ中から攻める。そういったことを1年間通してやってきました。その積み重ねが、今日はプレーの中で多く出たのかなと思います。
Q:優勝が決まった瞬間、監督として、そしてかつて選手として立場を経験された中で、どんな景色が見えましたか。
有村監督:
選手の時も、監督としても、「自分がやってやった」という感覚はありません。試合には出ていましたけど、みんなに優勝させてもらったという気持ちの方が強いですね。
監督としても、私が特別なことをしたわけではなく、優秀なスタッフが子どもたちをしっかりコントロールし、勝利に向かって導いてくれた結果だと思っています。
優勝した瞬間は、正直なところ信じられない気持ちの方が強くて……。信じられないと涙って出ないんだな、と感じました。
Q:球際の強さや切り替えの速さなど、「強い鹿児島を取り戻す」という言葉が詰まった試合だったように思います。
有村監督:
うまさだけを求めるのではなく、今日は本当に“サッカーをしてくれた”と思います。
6万人の観客の前で、切り替えの速さや球際の強さを見せたい、という話もしていましたし、子どもたちはそれを意識して体現してくれました。
その中で相手の背後を素早く突くことが、得点につながった。我々が今日やりたかったことを、子どもたちが表現してくれた試合だったと思います。
Q:夏冬連覇は史上6校目の快挙です。神村学園の名前が刻まれたことをどう受け止めていますか。
有村監督:
狙っていたわけではありません。一つ一つ積み上げてきた子どもたちの努力の結晶だと思います。
これまで神村学園をつないできてくれた多くの先輩たちが、少しずつ積み重ねてきた結果が、たまたま今年「二冠」という形で表れただけだと思っています。
日の目を見なかった子たちも含め、すべての先輩たちに感謝したいですね。
Q:「強い鹿児島を取り戻す」というテーマに、この優勝はどうつながっていくと感じていますか。
有村監督:
強い鹿児島を取り戻せたかどうかを判断するのは、私たちではないと思います。ただ、サッカーを志す小学生や中学生が、今日の試合を見て憧れを持ち、未来を描いてくれたのなら、それが何よりうれしいことです。
これからは、今日見てくれていた子どもたちを私たちが預かる立場になります。そうやって時代をつないでいけたらと思っています。
Q:高校時代に国立を経験した選手として、そして今回監督として立った国立。その一番の違いは何でしたか。
有村監督:
まず国立競技場が新しくなったことですね(笑)。
それから、当時はここまで多くの観客はいませんでした。これだけの大観衆の前でサッカーができる幸せを、改めて感じましたし、子どもたちにぜひ立ってもらいたいピッチだなと、今日改めて思いました。
Q:最後に、高校サッカー選手権という大会の意義、そして大会を支える方々への思いを聞かせてください。
有村監督:
この大会が、どれだけ多くの方々に支えられているかを、実際に中に入って関わることで強く実感しました。
そのリスペクトの気持ちは子どもたちにも伝えていますし、それがフェアプレーにつながっていると思います。
104回を数えるこの大会は、文化であり、残していくべき素晴らしい大会です。6万人が入る高校生のアマチュアゲームは、世界を見ても他にありません。
日本の誇りとして、守りながら発展させていかなければいけない。地方にいる私たちですが、この大会のためにできることがあれば、全力で取り組んでいきたいと思っています。
《福島和毅選手》
Q: おめでとうございます。
福島選手: ありがとうございます。
Q: 改めて、初優勝の今の気持ちを聞かせてください。
福島選手: 夏と冬で二冠を達成できたので、本当に最高です。準決勝よりはいいゲームができたと思いますが、後ろでつなぐ時間が長くなってしまって、後半はゴール前で相手が怖いと感じるようなプレーが少なかったかなとも感じています。
Q: 試合が終わった瞬間、ピッチの中や周りの景色を見て、どんな思いが込み上げてきましたか?
福島選手: こんな環境でプレーできる機会はなかなかないので、とてもいい経験になりました。
Q: 鹿児島県勢としての優勝ということで、地元もかなり盛り上がると思います。その点についてはいかがですか?
福島選手: 応援してくださっている方が本当にたくさんいて、その声援が力になって優勝できたと思います。その方々の期待に応えられてよかったです。
また、今大会は三年生としての責任感や、出場できなかった仲間たちの思いを強く感じました。一年生の時と比べると、その重みは全然違いましたが、最後にこうして優勝という形で終われて本当によかったです。
Q: ご自身は次のステージ、さらに上の舞台へ進みますが、今大会での経験はどのように生きてきそうですか?
福島選手: これだけ大勢の人の前で試合を経験できたので、アビスパ福岡に行っても、あまり緊張せずにプレーできると思います。

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