2025年12月26日 午前7時30分
【論説】連合福井は12月16日、2026年春闘に向け「5%以上の賃上げ実現にこだわる」とする方針案を示した。中小組合では、大手との格差是正分を上乗せした「1万8千円以上、6%以上」とさらに高い目安とした。5%以上の賃上げ要求は3年連続で、2月に正式決定する。
過去2年の春闘では、5%台の賃上げが実現し、連合福井は、賃上げの流れは「幅広い産業に広がりを見せた」と評価した。経営側の経団連も26年春闘指針「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」最終案で、中小企業を含めて「賃金引き上げの力強いモメンタム(勢い)のさらなる定着」を訴える方針で、労使とも賃上げの継続性で一致しているといえる。
ただ物価上昇の波に賃金の伸びが追いつかず、「実質賃金」は伸び悩む。多くの県民にとって生活が豊かになった実感は乏しい。連合福井は「正念場の年」として実質賃金のアップに注力する構えだ。「実質賃金を1%上昇軌道に乗せる」ことを目標としており、県民が実感できる賃上げができるかが重視されるだろう。
経団連の最終案でも、物価変動を考慮した実質賃金のマイナスが続く現状を踏まえ「安定的なプラス化に向けて官民連携の取り組みが望まれる」と説明するなど、実質賃金を重視する姿勢がうかがえる。ただ、企業側の取り組みだけでは限界もあるとし、政府や日銀に対して政策の検討・実施を求めている。
企業経営を取り巻く環境は厳しさを増している。19日には日銀が0・75%程度への政策金利引き上げを決定し、市場金利の上昇による借り入れ負担増や、千円を超えた最低賃金などで人件費上昇への懸念の声がある。これまでの賃上げは、国や県からの強い要請に基づいた側面が強い。だが、8月に賃金改定状況を公表した福井県経営者協会が「人件費のさらなる負担が見込まれ、価格転嫁などを進めていかないと企業の体力がもたない」とするなど、経営側も限界が近づいている。
高市早苗政権は、積極財政による「強い経済」と「成長」を掲げる。しかし政府が成長の旗を振ろうとも、その果実が家計に届いて消費者の購買力が増えなければ、経済の好循環は絵に描いた餅に終わる。高市首相が参院予算委で「政府の役割は継続的に賃上げできる環境整備」と答弁しているが、企業が価格転嫁や生産性向上を果たすことができ、国民が実感できる賃上げが実現するよう、具体的な方策を示してほしい。

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