政府は12月19日、2026年度診療報酬本体を3.09%引き上げることを、高市早苗首相、上野賢一郎厚労相、片山さつき財務相による協議で固めた。うち賃上げ対応に1.7%を充当する一方、外来・在宅、調剤報酬の適正化で、マイナス0.15%とする方針だ。

 病院団体からは10%程度の引き上げ要望も出ており、それには及ばなかったが、2020年度0.55%、2022年度0.43%、2024年度0.88%など1%未満にとどまった過去の本体改定率を大きく上回る。薬価・材料等で0.8%強引き下げとなる見通しだが、全体でプラス改定は2014年度以来のこと。2026年度当初予算案は12月26日に閣議決定の予定だ。

 今回の改定に先立つ医療経済実態調査では、医業・介護損益率は一般病院マイナス7.3%、医療法人立の無床診療所では5.4%、薬価改定では平均乖離率は約4.8%だった(『一般病院マイナス7.3%・無床診5.4%、2024年度損益率』『2025年度薬価調査の速報公表、平均乖離率は約4.8%』を参照)。

 改定率決定後、注目されるのは財源配分の在り方だ。今後は中医協での具体的な配分の議論に移る。

【12月20日追記】本体改定率の内訳見込み
本体改定率:3.09%

 賃上げ対応:1.70%
 物価対応:1.29%(物価0.76%、食費・光熱水費0.09%、その他0.44%)
 政策改定(通常改定):0.25%(医療の高度化、医療機能の強化:医療の高度化への対応、医療機関機能に着目し、地域で高度・救急医療を支える医療機関への重点配分、等)
 適正化・効率化:▲0.15%(外来・在宅の適正化:訪問看護、在宅医療の適正化、一般名処方加算の見直し、医療機関・薬局等が連携した残薬対策の推進、長期処方・リフィル処方の取組強化。調剤報酬の適正化:調剤基本料の見直し、後発医薬品調剤体制加算の見直し)

 今回の改定は、物価・人件費の高騰というインフレ下での対応が求められている。2025年6月の「骨太の方針2025」では、社会保障関係費について「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と明記された(『医療分野でも物価・人件費増に対応、「骨太の方針2025」閣議決定』を参照)。

 2025年度補正予算では、医療機関の経営支援として「医療・介護等支援パッケージ」として約1.4兆円を盛り込まれたものの、厚労・財務両省では厳しい攻防が続いていた。医療界は様々な形で政府と交渉、12月18日には自民党国会議員らで構成する「社会保障を守る会」が自民党本部で緊急集会が開かれた(『改定大幅増へ「財務省ねじ伏せる」自民・田村氏』を参照)。

 日本医師会会長の松本吉郎氏は、「公定価格で運営されている医療・介護分野は、賃金・物価上昇を価格に転嫁することができず、経営状況が著しく逼迫している。今回、通常の改定とは別枠で賃上げ、物価対応のための財源を一定程度確保いただいたとのことだ。政府・与党はじめ多くの関係者の皆様に医療機関等の厳しい経営実態を理解いただけたものと実感し、大変感謝している」とのコメントを公表した。

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