アメリカ、カナダ、メキシコで共催される2026年FIFAワールドカップ(W杯)の1次リーグ組み合わせが12月5日に決定した。FIFAランキングトップでポット1のスペインは、H組で68位カボベルデ(アフリカ)、60位サウジアラビア(アジア)、16位ウルグアイ(南米)と対戦することになった。
【一覧】2026年W杯組み合わせ
■カボベルデとサウジは「2弱」
前大会で31位コスタリカ、12位ドイツ、23位日本と同組であったため、今回はかなり楽な組になったと言えるだろう(※FIFAランキングの順位は前回大会の1次リーグ組み合わせ決定時。スペインは当時7位)。
スペインメディアは今回の結果を楽観的に捉えている。抽選会翌日、アス紙は「幸運」、ムンド・デポルティボ紙は「ラッキーなグループに入ったラ・ロハ(スペイン代表の愛称)」と大きく見出しをつけた。マルカ紙は「優しい抽選結果の中、(レアル・マドリードMF)バルベルデとビエルサ監督のチームが唯一の障害」と、ライバルはウルグアイのみ“2強2弱”との見解を示した。
過去の対戦成績を振り返ると、世界王者に2度(1930年、1950年)輝いたことがあるウルグアイとは通算10回対戦し、5勝5分けと一度も負けていない。サウジアラビアとは2度対戦し全勝。W杯初出場のカボベルデとは今回が初顔合わせとなる。
■日本のF組は「楽ではない組」
今大会は参加国が大幅に増加したこともあり、「死のグループ」は存在しない。そんな中、スペイン国内ではブラジル、モロッコ、スコットランド、ハイチのC組、フランス、セネガル、ノルウェー、大陸間プレーオフ勝者(ボリビア、スリナム、イラク)のI組が最も難しいグループと報じられた。また、オランダ、日本、チュニジア、欧州プレーオフ勝者(ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニア)が揃うF組も楽ではないグループと考えられている。
スペイン代表のデラフエンテ監督は抽選会直後、「それぞれ特徴がある非常に難しい相手が揃った」と謙虚に語り、自分たちが優勝候補と目されていることについては「その言葉には感謝している。それはスペインサッカーのレベルの高さに対する評価であり、その価値を認めてもらっているものだ。しかしそれは何の保証にもならない」と油断した様子を見せなかった。
それもそのはず、スペインは近年、優勝候補の一角に挙げられながら好成績を残せていない。直近3大会の通算成績は11試合3勝5分け3敗(※2度のPK戦負けは引き分けにカウント)。勝ったのはオーストラリア、イラン、コスタリカのみで、10年南アフリカでの初優勝以降、ラウンド16の壁を破れていないという現実がある。
【イラスト】サッカー26年W杯決勝トーナメント組み合わせ
■最大の敵は5000キロ超の移動
さらに監督は「グループ首位になることは、その後の展開を考えると常に重要」と強く訴えている。その理由は2位通過となった場合、決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)で前回王者のアルゼンチンといきなり対戦する可能性が高いためだ。一方、両チームがグループ1位となった場合、スペインはオーストリア、アルジェリア、ヨルダンのいずれかとの比較的楽な対戦となるため、是が非でも首位通過したいところだろう。
しかし、監督が最も懸念しているのはピッチ外。「最も気になるのは試合間の移動が長く、会場間の距離が遠すぎること」と、選手のコンディションが崩れる可能性を問題視している。スペインはアトランタでカボベルデ、サウジアラビアと対戦した後、グアダラハラでウルグアイ戦に臨む。そしてグループ1位になった場合、ロサンゼルスで決勝トーナメント1回戦を迎える。この2回の移動だけでも国を跨ぎ、5000キロを超えることになる。
懸念材料はいくつもあるが、4大会ぶり2度目の優勝を目指すスペインが優勝候補であることは間違いない。W杯欧州予選でクリーンシートを5回達成した堅固な守備、ペドリを中心とした中盤の華麗なパスワーク、驚異的な突破力を誇るヤマルやニコ・ウィリアムズのサイドアタック、直近の代表9試合9得点6アシストというオヤルサバルの決定力を武器に、新たな黄金期を過ごしている。
W杯欧州予選を6試合5勝1分け、21得点2失点で首位通過し、13大会連続、通算17回目の本大会出場を決定した。これにより、「W杯予選のホームゲームで一度も負けたことがない世界で唯一の代表チーム」というステータスを維持している(64試合無敗)。
さらに現在、イタリアが保持している公式戦連続無敗の世界記録31試合に並んでいる。3月に開催予定のフィナリッシマ(欧州選手権と南米選手権の王者対決)でアルゼンチンを破った場合、新記録を樹立することになる。
■ブックメーカーでは一番人気
これらの好成績により今年10月、FIFAランキング首位に11年ぶりに返り咲き、W杯優勝の最有力候補とも目されている。例えば、大手ブックメーカー会社「bwin」の優勝オッズは5倍で一番人気。これにイングランド7倍、フランス8倍、ブラジルとアルゼンチンが9倍と続く。日本は81倍でデンマーク、スイスと並んで19位となっている。
W杯開幕まで6カ月を切ったが、スペイン国内はまだW杯の雰囲気にはなっていない。その理由のひとつとして、クラブチームのシーズンが真っ只中で、自分の応援するチームがこれから佳境に入ることが挙げられるだろう。その間、国際Aマッチ期間は3月の1回のみのため、人々の気持ちがW杯に向くのは直前になると思われる。
FIFAは12月11日にチケット第3次販売の抽選受付を開始したが、申し込みの多い対戦カードは、コロンビア対ポルトガル、ブラジル対モロッコ、メキシコ対韓国、エクアドル対ドイツ、スコットランド対ブラジル。アメリカ大陸開催という理由はあるものの、スペインの試合はひとつも上位に入っていない。国別では、開催3カ国からの申し込みが最も多く、続いてコロンビア、イングランド、エクアドル、ブラジル、アルゼンチン、スコットランド、ドイツ、オーストラリア、フランス、パナマとなっている。
現時点でスペイン人からはまだそこまで、W杯の熱気を感じられないが、10年南アフリカの優勝以降、代表人気が急上昇している。そのため今回も開幕が近づくとともに大きな盛り上がりを見せるはずだ。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)
WACOCA: People, Life, Style.