2025年12月16日 午前7時30分
【論説】福井県永平寺町健康長寿クラブ連合会が毎年作製している「健康長寿3年日記」が、第1弾の発行から10周年を迎えた。日々の思いをつづり認知症予防に役立てる取り組みは今年、中学生版に派生するなど新たな展開を見せている。自らの歩みを手書きで記録する習慣が世代を超え、町内外に広がることに期待が膨らむ。
3年日記は、指を使い字を書くことで脳を活性化し、認知症を防ぎ健康寿命を延ばそうと同クラブが2015年から作製を始めた。日記帳は年ごとに縦3段に区切り、3年間の同じ日の内容を一目で確認できる。1冊目(16~18年版)から毎年発行し、今月11冊目(26~28年版)が完成した。
同クラブは21年、1冊目から続けている人の3冊目への更新に当たって表紙のデザインを一新。実践実行委員会を立ち上げ、継続するこつを伝授する講習会を開催するなど普及に力を入れてきた。記入欄の枠外には「あしたは今日より笑顔に」「ありがとう記し続ける楽しさ」など実践委が考えた文言やイラストを添え、飽きずに継続できるよう工夫を重ねてきた。
最新の11冊目は300部作製し1冊800円。事務局によると、1冊目は674部、10冊目までで累計3500部以上が販売された。現時点で千人ほどが実践しているという。
実行委会長(84)は「5年や10年だと長すぎる。3年なら続けてもらえると思った」と振り返り「1年間書けば、前年と比べながら楽しみが続く」と話す。10年前から続けている人は、新年から4冊目の2段目記入が始まる。
好評が続く「健康長寿3年日記」を巡っては今年、町教委が中学生版を作製し、町内3中学の新入生全員に贈呈した。年ごとの3段区切りは同じだが、写真を貼るページを設けたり、先輩中学生のイラストやメッセージを添えたりしてアレンジ。自らの成長を確認するツールとして活用する若者が増えれば、3年日記が世代を超えて根付く契機になりそうだ。
また、実行委などは12月20日、健康長寿3年日記の10周年を記念したイベントを開く。日記に記した言葉を50字以内で募集し、応募作をコンテスト形式で発表する。事務局によると、応募は県内外の10~90代から75点。「3年日記を続けている人同士で、共感の輪が広がる機会になればうれしい」と和田さんは言う。
デジタルツール全盛の現代、手書きで記録する習慣は貴重だ。記憶の定着や呼び起こしだけでなく、筆跡に表れた心境を振り返ることもできる。地道に続けられてきた取り組みが町の文化になり、「日記を書くまち」としての共感や誇りにつながってほしい。

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