2025年12月06日 08時00分
メモ


夜、スマートフォンで月を撮影しても、輪郭がぼやけた白いお餅のように写ってしまうことがあります。天体望遠鏡で見るように月をクッキリ撮影することがいかに難しいかについて、オーストラリアの天文学者であるマイケル・ブラウン氏が解説しています。

Why is it so hard to take a good photo of the Moon with my phone?
https://theconversation.com/why-is-it-so-hard-to-take-a-good-photo-of-the-moon-with-my-phone-266051

ブラウン氏いわく、スマートフォンで月を撮影するときは「実は夜ではない」と考えることが大事だとのこと。というのも、月は光量が多いため、夜間の風景を撮影するように月を撮ると失敗してしまうからだそうです。

大抵のスマートフォンカメラは、夜に起動すると自動的に夜間撮影モードになります。月を撮影するときは昼間の設定に近づけた方がベターで、夜間モードをオフにし露出時間を短くするなど設定をいろいろ変えてみるのがおすすめとのこと。


設定を変えてもなお、平凡な写真しか撮影できないことがあります。ブラウン氏によると、これはカメラの性能の限界が関係しているそうです。

一般的なスマートフォンは自撮りなど近接被写体や広大な風景の撮影に優れています。しかし残念ながら、空に浮かび、視野角にしてわずか0.5度の大きさの月は、このような広角画像では埋もれてしまいます。

撮影された写真の細部は画素のサイズと焦点距離に依存します。単純なレンズの場合、焦点距離とはレンズから検出器までの距離にほぼ相当します。高精度なデジタルカメラとは違い、スマートフォンのレンズの焦点距離はわずか数ミリメートルで、センサーの画素サイズは千分の数ミリメートルです。一般的なスマートフォンの場合、各ピクセルが受け取れる光の角度は約0.02度ですが、空に広がる月は0.5度であるため、月の画像はわずか25ピクセル幅に収まってしまいます。

わずか25ピクセル幅の画像に、細部が写るはずがありません。スマートフォンのカメラソフトウェアはピクセルを追加したり、画像をシャープにしたり、補間処理でピクセルを増やそうとしますが、これらは月の写真を精細にするものではありません。


ズームインして月を撮影すればある程度は細部まで写りますが、スマートフォンのカメラは一定以上のズームをデジタルで行うため、物理的な焦点距離は変わらず、依然としてぼやけた写真しか撮影できないのです。

ブラウン氏は、どうしてもスマートフォンで月をキレイに撮影したい人向けに、「望遠鏡を組み合わせるのがいい」とアドバイスしています。望遠鏡を月に向け、接眼レンズをスマートフォンの真上に慎重に浮かせて撮影すると、驚くほど良い写真が撮れるとのこと。これは、望遠鏡の倍率を利用してカメラの焦点距離を実質的に延長するためです。

ブラウン氏が望遠鏡とスマートフォンで撮影した写真が以下。

M. J. I. Brown

ブラウン氏は「手元に望遠鏡がない?ズームインする代わりにズームアウトしてみてください。スマートフォンは広大な景色を捉えるのに優れていることを思い出しましょう。月を撮るのは苦手でも、天の川なら素晴らしい写真が撮れます。運が良ければ、明るい彗星(すいせい)やオーロラといった珍しい天体も捉えられるでしょう」と締めくくりました。

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