
高校の教育現場は大きな過渡期にある。18歳人口の減少という構造的な問題だけでなく、高校無償化という国策が導入されることで、生徒募集はますます先行きが見通しにくくなっている。主要な進路先である大学では入試制度の多様化が進み、生成AI(人工知能)をはじめとするデジタル技術の発展もめざましい。教育や進路指導も変化を求められる状況で、京都・滋賀の高校はどのように特色を打ち出し、教育活動を持続させようとしているのか。特集「高校教育の現在地」では、各高校トップの考えに迫る。今回は、京都市立西京高校の中村広記校長にインタビューした。
─教育方針や特色について教えてください
「本校は、臨済宗大本山妙心寺が母体の学校で、禅のこころの育成を全ての教育の根幹に置いている。禅には、自分自身でこころを落ち着け、こころを鍛える教えがあり、学校教育との親和性が非常に高い。『他力本願』ではなく、『自力本願』とあえて呼び、自分の内面や奥底に眠る無限の可能性に目を向けて、自分に内在する力を発揮しながら、答えのない問いを切り開いていく力を育んでいる」
「古くは戦国武将から、スティーブジョブズやイチロー選手ら、各界で活躍する人たちも禅の精神を取り入れてきた。『物事をどのようにとらえるべきか』と考えるとき、禅的思考が非常に役に立つ。ロジカルシンキング(論理的思考)でもあり、クリティカルシンキング(批判的思考)でもある」
「特進Aコース、特進B コース、進学カルティベートコースの特色ある三つのコースを用意している。それぞれカリキュラムが違うが、どの学年、どのコースにも宗教の授業がある。禅の教えを通して、壁にぶつかった時にも活路を見出せるもののとらえ方や考え方『マインドセット』を身につけている。各授業は教員の『静思』という声かけで始まり、生徒は姿勢と呼吸と心を調える。坐禅に向き合う姿勢で、集中力を高めることができる。また、高校1年では、妙心寺で禅の修行体験をする『錬成会』などの行事もある」
─各コースの特徴は
「特進Aコースは、一般入試で難関国公立大学合格を目指すため、1 年生から教科の指導をより徹底している。自分で計画を立て、平日の放課後や土曜日、長期休暇などに勉強の仕方を身につけていく『独習会』があるのが特徴だ。どんなやり方をすれば自分の力が伸びるかを考えて主体的に動き、教員もサポートする」
「特進Bコースは主に難関私立大学を目指す。論理的思考力を育むことに力を入れ、授業以外の時間の使い方や学習方法などを生徒自身が考える。自分で自分の時間をカスタマイズして道を切り開き、自分で自分をコントロールする術を身につけることができる。ニュース時事能力検定は全員が受験し、世の中で起こっていることを知り、自分のやりたいことを見つめる。ハイレベルな文武両道が実現できるのも特徴だ」
「進学カルティベイトコースは、自分のやりたいことをしっかり見つけて大学に進学していくためのリテラシー教育に力を入れている。ある一定期間、全教科が共通テーマで授業を展開し、複数の情報を通して全体像を構築する力を身につける。教科の知識が今の社会の中でどう結びついてるのかを考える時間を多くもつことで、学びのモチベーションが上がる。また、『ノート持ち込み考査』を実施し、単なる情報のつめこみではない本物の学力を身につけさせる」
「特進 B コースと進学カルティベトコースには、
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中高一貫コースで得た成果も活用
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