レッドブル・レーシングのローラン・メキーズ代表は、2025年F1第20戦メキシコGP決勝後、角田裕毅の入賞を阻んだピットストップでのトラブルを公に認め、「我々の非常に優秀なピットクルーでは通常、起こり得ないような事態だった」と悔しさをにじませた。

36周目のピットストップでリアタイヤの交換に手間取り、角田は約12秒の停止時間を要した。翌周にピットインしたマックス・フェルスタッペンと比べて8.868秒も遅いストップとなり、最終的11位と、手中に収められるはずだったポイントを失った。

一方、角田本人はメカニックを責めることはせず、「ピットストップのトラブルは起こるものですし、メカニックたちはシーズンを通して素晴らしい仕事をしてくれています。個人的には他の部分で僕らは…、僕としては、もう少し良い仕事ができる余地があったと思います」と語った。

この「他の部分」が具体的に何を指すのかは不明だが、チーム代表が謝罪し、ドライバーがメカニックを擁護する——レッドブルの結束力が試された週末となった。

「残念なことに、かなりのタイムロス」

角田裕毅のピットストップ作業を行うレッドブルのピットクルー、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

角田裕毅のピットストップ作業を行うレッドブルのピットクルー、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

メキーズは角田のピットストップについて、「残念なことに、かなりのタイムロスが生じた」と振り返り、クルーのミスであったと認めた。

レッドブルのピットクルーは、F1でも屈指の精度とスピードを誇る。しかしこの日は稀なミスが発生。リアタイヤの取り付けに手間取り、停止時間は約12秒に達した。通常であれば2〜3秒で完了する作業であり、9~10秒のロスを喫した計算となる。

この結果、角田は15番手でコースに戻り、入賞圏内の10番手まで約15秒差という苦しい状況に追い込まれた。新品ソフトで猛追したが、ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)に2.185秒届かず11位でチェッカーを受けた。

「ユーキのペースも速かった」機能していた戦略

一方でメキーズは、「(フェルスタッペンと同じように)ユーキのペースも速かった。特にミディアムタイヤでの第1スティントは素晴らしかった」と語り、角田のパフォーマンスを高く評価した。

レッドブルは角田とフェルスタッペンの両方に、「ミディアム→ソフト」の1ストップ戦略を採用した。直接的なライバル勢が「ソフト→ミディアム→ソフト」の2ストップを選択する中、リスクを取った戦略だった。

メキーズはこの戦略を「難しい1ストップ」と評し、タイヤのデグラデーションを抑えながらペースを維持するために、繊細なマネジメントが求められる難しい戦略だったと説明した。

角田は1周目に2つポジションを上げて8番手に浮上。ランキング首位のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)の猛攻をしばらく凌ぎ、11周目に9番手へ後退した後も堅実な走りを続けた。

ピットストップのミスがなければ、角田は少なくとも10位でフィニッシュできていたはずだ。戦略に大きな問題はなく、ペースも悪くなかった。だが、ピットエラーがすべてを台無しにした。

ランド・ノリス(マクラーレン)をリードする角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年10月26日F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ランド・ノリス(マクラーレン)をリードする角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年10月26日F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

フェルスタッペン、同じ戦略で3位表彰台

一方のフェルスタッペンは、同じ1ストップ戦略で3位表彰台を獲得。メキーズはその走りを絶賛した。

「マックスは非常に扱いづらいミディアムタイヤでスタートし、第2スティントでは見事な走りを見せてくれた。ペースを一切落とさず、クルマの性能を最大限に引き出してくれたおかげで、この戦略が成立した」

「彼のドライビングがこの戦略を完璧に機能させた」

フェルスタッペンは3位でレースを終えたが、2位表彰台も十分に狙える展開だった。残り2周でシャルル・ルクレール(フェラーリ)に急接近していたが、バーチャル・セーフティーカー(VSC)の導入により追撃の芽を摘まれた。

メキーズは悔しさを隠さなかった。

「マックスは1周あたり0.6〜0.7秒ずつシャルルとの差を縮めており、VSCがなければ残り数周で本格的なバトルが展開されていたはずだ。VSCをコントロールすることはできないし、これもレースの一部だが、見応えのある戦いと数ポイントを逃したのは残念だ」

メキーズはまた、チーム全体を称賛した。

「この週末はクルマのフィーリングに少し苦しんだが、最後まで決して諦めなかったチーム全員を誇りに思う。ミルトンキーンズからのサポートも現場の努力も素晴らしく、皆が一丸となって改善に取り組んでくれた。勝利にはあと一歩届かなかったが、マックスの走りによって再び重要な表彰台を手にすることができた」

結束力を示したレッドブル

メキシコGPでレッドブルは、チームとしての結束力を示した。

チーム代表のメキーズは公の場でピットミスを認め、角田の走りを称えた。一方、来季シート争いのさなかにある角田は、ポイントを逃す痛恨の結果にもかかわらずメカニックを責めず、チームを思いやる言葉を口にした。F1がチームスポーツであることをあらためて感じさせる週末となった。

2025年F1第20戦メキシコGPの決勝レースは、ランド・ノリス(マクラーレン)が圧巻のポール・トゥ・ウインを飾り、2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。

インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは、11月7日のフリー走行1で幕を開ける。

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