22日の米金融市場ではボラティリティーが再び高まり、株式市場でハイテク銘柄が売られる一方、金相場と暗号資産(仮想通貨)が下げた。20年債入札が好調で、米国債は年限全般で上昇。円は対ドルで当初の上げを失い、ほぼ横ばいとなった。

株式終値前営業日比変化率S&P500種株価指数6699.40-35.95-0.53%ダウ工業株30種平均46590.41-334.33-0.71%ナスダック総合指数22740.40-213.27-0.93%

  トランプ米政権が重要ソフトウエアの幅広い分野を対象に、中国への輸出を制限する措置を検討していると伝わり、通商問題を巡る米中対立激化への懸念が強まった。

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  S&P500種株価指数があまりに急ピッチで値上がりしてきたため、相場はわずかな悪材料にも敏感に反応しやすくなっており、一息入れる局面だとの指摘も出ている。テキサス・インスツルメンツ(TI)の精彩を欠く業績見通しに加え、決算が市場予想並みにとどまったNetflixの株価が大きく下げたことで、ナスダック100指数は1%下落した。

  電気自動車(EV)メーカーの米テスラが引け後に発表した7-9月(第3四半期)決算では、利益がウォール街の予想を下回った。株価は時間外取引で下げている。

  ベッセント米財務長官がロシア関連制裁を「大幅に」強化する方針だと明らかにしたことで、地政学的な動向にも注目が集まっている。

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  この日の取引では、個人投資家によるモメンタム取引で人気を集めてきた資産が再び大きく売られた。具体的には、貴金属、暗号資産、人工知能(AI)関連銘柄などの下げがきつかった。クオンツ投資家が株式市場でこのテーマを追跡するために用いる「ブルームバーグ米国ピュア・モメンタム・ポートフォリオ」指数なども、ここ数日で急落している。

  ビスポーク・インベストメントのストラテジスト陣は、8月以降に急騰してきた市場セグメントでは、過去1週間で熱狂が大きく冷めていると分析。

  「最も投機的な資産に関しては、少なくとも一時的に音楽が止まり、パーティーが終わったようだ」と指摘。「再び音楽が鳴り出す時期は誰にも分からないが、値上がりが激しいほど下落もより急になる」と述べた。

  S&P500種は6700をわずかに割り込んで引けた。Netflixは10%、TIは5.6%それぞれ下落した。ビヨンド・ミートは大きく買われた後にほぼ横ばいとなり、市場を周期的に揺さぶるミーム株ブームを想起させる展開となった。小型株で構成されるラッセル2000指数は1.5%安。

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  シティー・インデックスのフィオナ・シンコッタ氏は「米国株が最高値近辺で推移し、バリュエーションが割高な水準にある中で、投資家はこれを正当化できる卓越したファンダメンタルズを求めている」と指摘した。

  株式相場の上昇ペースが鈍る中で、今回の決算シーズンではこれまでに市場予想を上回る利益を発表した企業が85%に達しており、2021年以来の高水準となる見通しだ。S&P500種構成銘柄の多くは通常、予想を上回る傾向にあるが、アナリストがクリアすべき期待値を引き上げていたことを踏まえると、今回の好調ぶりは際立つ。

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  ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのトーマス・リー氏は、決算発表後のNetflixやTIの株価下落について「投資の前提を変えるものではない」とし、「短期的な株価下落については特に懸念していない」と話す。

  同氏は企業業績の堅調さ、米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派姿勢、AI見通しの力強さ、10-12月(第4四半期)の季節的な上昇傾向により、年内最後の10週間の相場は堅調に推移すると予想。

  「S&P500種が年末までに少なくとも7000に達するというのが基本シナリオで、7500も視野に入る」と述べた。

米国債

  米国債相場は年限全般で上昇(利回りは低下)し、20年債と30年債の利回りはいずれも一時、4月以来の水準に低下した。この日実施された20年債入札(発行額130億ドル、銘柄統合)は旺盛な需要を集めた。

国債直近値前営業日比(bp)変化率米30年債利回り4.53%-1.0-0.23%米10年債利回り3.95%-1.3-0.34%米2年債利回り3.44%-1.3-0.37%  米東部時間16時54分

  最高落札利回りは入札前取引(WI)水準を1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り下回る4.506%と、需要の強さを示した。

  入札結果は、今月に入って続く米国債利回り低下の流れをさらに強めた。背景には、歴代2位の長さとなった米政府機関の閉鎖や通商問題を巡る米中対立再燃がある。

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  米当局者によると、トランプ政権は重要ソフトウエアの幅広い分野を対象に、中国への輸出を制限する措置を検討している。これについてはロイター通信が先に伝えており、報道を受けてハイテク株が下落し、米国債利回りにも下押し圧力がかかった。

  ミシュラー・ファイナンシャル・グループの金利セールス・トレーディング担当マネジングディレクター、トニー・ファレン氏は「米国債には現在、正当な潜在需要が存在する」と指摘。その要因として政府閉鎖、通商摩擦、連邦財政赤字のわずかな改善を挙げた。

  米国債への需要は、足元で経営破綻が続いたことでも押し上げられている。この日はサブプライム(信用力の低い個人向け)自動車販売店に融資を行うプライマレンド・キャピタル・パートナーズが、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。

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US 20-Year Bond Auction Draws Year's Lowest Yield

 

 

為替

  ニューヨーク外国為替市場で、ブルームバーグ・ドル・スポット指数がほぼ横ばい。朝方はプラス圏で推移していたが、その後は下げに転じ、終盤にかけて下げ幅を縮小する展開だった。市場は24日に発表される9月の米消費者物価指数(CPI)統計に注目している。

為替直近値前営業日比変化率ブルームバーグ・ドル指数1212.62-0.07-0.01%ドル/円¥151.93¥0.000.00%ユーロ/ドル$1.1610$0.00100.09%  米東部時間16時55分

  円は対ドルでほぼ変わらず。一時は151円台半ばまで買われる場面もあったが、終盤にかけて再び下げた。  

  市場関係者の間では、CPIの発表を控え、ドル高の勢いが強まるとの見方が出ている。来週予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)会合では0.25ポイントの利下げが見込まれている。

  スペクトラ・マーケッツのブレント・ドネリー社長は「年内2回の米利下げが完全に織り込まれている状況で、CPIが上振れるリスクがあり、月末までの資金フローもドル買いに傾いている」と指摘した。

  その上で、今後2週間のドル強気見通しを踏まえた戦略として、ドル・円のロング、豪ドル・米ドルとユーロ・米ドルのショートを推奨した。

  一方、ポンドは主要通貨をアンダーパフォーム。9月の英CPIが予想外の横ばいとなり、年内のイングランド銀行(BOE)による利下げ観測が急速に高まった。

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ドル・円相場の推移

 

 

原油

  ニューヨーク原油相場は続伸。テクニカル指標が最近の下落が行き過ぎだった可能性を示したほか、米政府の統計で在庫の減少が示され、供給過剰への懸念がやや和らいだ。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=58ドル超で引けた。相対力指数(RSI)が約1週間「売られ過ぎ」の領域にとどまり、相場反転を示唆していた。

  米政府の統計では国内の石油在庫が約420万バレル減少し、9月下旬以来の低水準となった。目立ったサプライズはなく、米石油協会(API)の予測ともほぼ一致した。

  CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「今回の在庫統計が、今後大幅な在庫積み増しが見込まれているという市場のコンセンサスに影響を与えることはないだろうが、足元の上昇を維持する一助にはなっている」と指摘。「とはいえ、一段高に向けた強い材料とは言えない。多くのトレーダーは依然として、大幅な在庫増が間近に迫っているとみている」と語った。

Oil Bounces Back From Oversold Territory | WTI's 9-day RSI had fallen below 30, paving way for correction

 

 

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物12月限は、前日比1.26ドル(2.2%)高の58.50ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント12月限は2.1%高の62.59ドル。

  ニューヨーク金相場は続落。最近の上昇が急ピッチ過ぎたとの見方が広がる中、急落した前日の流れを引き継ぎ、売りが続いた。

  金スポット価格は一時2.9%下落。欧州時間には上げに転じる場面もあり、不安定な展開となった。前日の取引では、今年に入っての記録的な上昇が行き過ぎだった可能性をテクニカル指標が示したため、一時は6.3%下落した。

  DWSグループの商品責任者兼ポートフォリオマネジャー、ダーウェイ・クン氏は1オンス=4400ドル近辺まで上げた相場について、「やや割高感が出ていた」と述べた。「高騰した価格が調整局面を迎えるのは当然のことだ」としつつも、今回の下げによって自身の長期的な強気見通しが変わることはないと語った。

  今回の下げにより、8月中旬から続いていた急速な上昇基調には突然の終止符が打たれた。拡大する財政赤字から資産を守るため国債や通貨を避ける「ディベースメント取引(通貨価値切り下げトレード)」と、年内に米連邦準備制度理事会(FRB)が少なくとも1回の大幅な利下げに踏み切るとの観測が、ここ数カ月の主な上昇要因となっていた。金は年初来でなお約55%上昇している。

  資産運用会社エイドリアン・デイ・アセット・マネジメントを率いるエイドリアン・デイ氏は「数日以内に下値は固まるだろう。なぜなら金を支えている要因は何も変わっていないからだ」と述べた。「FRBが利上げをすることはない。政府が財政赤字を解消することもない。もう金を買う必要はないというような根本的な変化をもたらす需給要因は見当たらない」と語った。

  シティグループは、前日の急落を受けて金の投資判断を「オーバーウエート」から引き下げた。ポジションが過度に積み上がっていることへの懸念が理由。チャーリー・マッシーコリアー氏らストラテジストはリポートで、金価格は今後数週間に4000ドル近辺での値固めが続くとの見方を示した。

  さらに「ドルからの分散を狙った中央銀行の継続的な買いという、金の強気相場を支えてきた従来の要因は、いずれ戻ってくる可能性があるが、現時点の水準では急いでポジションを取る必要はない」と述べた。金相場は「ディベースメント取引というテーマを先取りし過ぎていた」とも指摘した。

Spot Gold Tests $4,000 An Ounce | Trend support at risk amid bearish momentum

 

 

  金スポット価格はニューヨーク時間午後3時34分現在、前日比12.06ドル(0.3%)安の1オンス=4113.16ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、同43.70ドル(1.1%)安の4065.40ドルで引けた。

原題:Stocks Hit by Momentum Unwind as Tesla Falls Late: Markets Wrap

Treasuries Hold Gains After Strong Demand for 20-Year Auction

Dollar Steadies as Pound Lags After UK Inflation: Inside G-10

Oil Futures Gain on Technical Correction, US Inventory Decline

Gold Extends Rout in Volatile Pullback From Record Price Surge(抜粋)

 

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