メキシコ発のブライダルブランド、ナディア マンハレス ブライダル(Nadia Manjarrez Bridal)は、ニューヨーク ブライダル ファッションウィーク期間中に、2026年秋コレクションを発表した。
今季のテーマは「メキシコに伝わる神話と伝承」。風と霧、時を超える愛、そして運命を紡ぐ女神たちの物語。世代を超えて語り継がれてきたこれらのストーリーは、“魂の詩”としてドレスの一つひとつに息づき、幻想的でありながらも確かな文化的ルーツを感じさせるコレクションに仕上がっている。
風と霧、そして愛の神話が息づく世界
今季のコレクションを導くのは、メキシコの大地に根づく多様なミューズたちだ。
風に選ばれた女性たち「ラス・ノビアス・デル・ビエント(Las Novias del Viento)」は、目に見えない力と自由の象徴。太陽神によって花と鳥に姿を変えた恋人たち「ショチトル(Xóchitl)」と「ウィツィリン(Huitzilin)」は、メキシコの象徴花・センパスチル(マリーゴールド)とハチドリとして、永遠の愛を表現する。
さらに、霧に包まれた山々に現れる守護者「ラ・ダマ・デ・ラ・ニエブラ(La Dama de la Niebla)」、そして時間に閉じ込められた花嫁「ラ・ノビア・デ・クリアカン(La Novia de Culiacán)」。彼女たちはそれぞれ、静寂のなかに宿る神秘や、愛と祈りの象徴として再び蘇る。
最後に、月と織物の女神「イシュチェル(Ixchel)」。光の糸で世界を紡ぐその姿は、創造と変化の象徴としてコレクション全体を包み込む。
繊細な手仕事が描く、詩的な構築美
ナディア・マンハレスは、こうした神話を独自のクラフツマンシップで再解釈した。チュールの流動性と軽やかさが全体を貫き、風や霧のような柔らかい動きがドレスに息づく。
「オルテンシア(Hortensia)」は、手作業でカットされたイタリア製チュールが織りなす霧のようなテクスチャーが特徴。「ヴィヴィアナ(Viviana)」は、繊細なレイヤードが風の呼吸に揺らめくように仕立てられている。センパスチルの花を模した装飾ボタンは、愛と記憶の象徴として、静かに光を放つ。
女神イシュチェルに捧げられた「イシュチェル(Ixchel)」と「カロリーナ(Carolina)」は、月光と星の輝きを封じ込めたようなハンドビーディングのテキスタイルで仕立てられた。ひとつは壮麗なボールガウン、もうひとつは軽やかなカクテルドレス。昼と夜、儀式と祝宴。その移ろいを象徴する“変容”を二つのシルエットで表現している。
花嫁の自由と祈りを纏う“タリスマン”
ナディア マンハレスが生み出すのは、自由、献身、そして変化を象徴する“タリスマン(護符)”のような存在だ。
建築的な精密さと詩的な柔らかさ。そして、メキシコの文化への深い敬意。そのすべてが調和した今回のコレクションは、神話を現代に再び息づかせるアートピースとして完成している。
ナディア マンハレス ブライダル 2026年秋コレクションのすべてのルックは、以下のギャラリーから。
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