EU、小規模改革で成長率3%押し上げ可能=IMF欧州局長

IMFのカマー欧州局長は、EUが少数の改革を実施するだけで経済成長を大きく押し上げ、競争力を高め、福祉制度を維持することが可能と述べた。今年4月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Elizabeth Frantz/File Photo)

[ワシントン 17日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)のカマー欧州局長は17日、欧州連合(EU)は少数の改革を実施するだけで経済成長を大きく押し上げ、競争力を高め、福祉制度を維持することが可能との見解を示した。

「欧州レベルでは、いわば『頭金』に当たる小規模な改革がいくつかある。これらによって10年間で成長率が平均で3%押し上げられるだろう」とロイターに述べた。

改革により電力料金が下がり、労働者が移動が容易になり、加盟国間で破産法が調整され、年金・保険基金によるベンチャー投資が増えるとの見方を示した。

「こうした改革は成長と所得水準の向上に重要であり、欧州の福祉制度を維持する上でも不可欠だ」と指摘。「成長促進の改革を多く実行できれば、長期的な歳出圧力に対処するために必要な財政調整は小さくて済む」と語った。

改革の恩恵は国によって異なるものの、10年後には全加盟国でGDPの水準が2─5%高くなるとの見通しを示した。

また、加盟国間の一部の貿易障壁を取り除けば一層の成長を促し、米国による高関税の影響を相殺できる可能性があるとした。現在、こうした障壁はモノに対して44%、サービスに対して110%の関税に相当する影響を生んでいるという。

米国はイノベーション(技術革新)で先行する一方、製造業ではそうではないとし、中国は製造業で非常に強く、イノベーションでも追い上げていると分析。「欧州は強固な製造基盤と高いイノベーションの双方を併せ持っている。各国が持っているものを結び付けて活用することが重要だ。それこそが単一市場であり欧州の強みだ」と強調した。

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Jan Strupczewski

Jan is the Deputy Bureau Chief for France and Benelux, running the Reuters office in Brussels. He has been covering European Union policy, focusing on economics, since 2005 after a five year assignment in Stockholm where he covered tech and telecoms stocks, the central bank and general news. Jan joined Reuters in 1993 in Warsaw from the main Polish TV news programme “Wiadomosci”, where he was a reporter and anchor for the morning news edition. Jan won the Reuters Journalist of the Year award in 2007 in the Scoop of the Year category, a second time in 2010 for his coverage of the euro zone sovereign debt crisis and for the third time in 2011, this time as part of the Brussels team, for the Story of the Year. A Polish national, Jan graduated from Warsaw University with a Master’s in English literature. He is a keen sailor, photographer and bushcraft enthusiast.

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