液化天然ガス(LNG)輸出国であるカタールのカアビ・エネルギー相は16日、欧州連合(EU)の「企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)」について、追加の修正がなければ、カタールはEU域内で事業を行うことができず、欧州にLNGを供給できなくなるとの見解を示した。セレモニーに出席したカアビ・エネルギー相。ドーハで2022年撮影(2025年 ロイター/Imad Creidi)
[16日 ロイター] – 液化天然ガス(LNG)輸出国であるカタールのカアビ・エネルギー相は16日、欧州連合(EU)の「企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)」について、追加の修正がなければ、カタールはEU域内で事業を行うことができず、欧州にLNGを供給できなくなるとの見解を示した。
CSDDDは、EU域内で事業を行う大企業に対し、サプライチェーン上の人権・環境問題を特定・是正することを義務付けており、違反した場合は罰則を科す。
欧州議会の法務委員会は今週、企業からの反発を受け、同指令の内容を緩和する案を支持したが、カアビ氏はロイターに対し、この修正案でもカタールの大きな懸念要因に対処できていないと主張。特に懸念しているのが、パリ協定の目標に沿った気候移行計画を持たない企業に対し、全世界の総売上高の最大5%に相当する制裁金を課す条項だと述べた。
カタールは、ロシアのウクライナ侵攻後、欧州のLNGの12─14%を供給している。
カアビ氏は「CSDDDについては、欧州委員会と全ての加盟国の主な関係者に1年近くにわたって建設的な協議を求めてきた」が、欧州委員会からの返答はないと発言。
その上で、EUは、CSDDDをさらに修正して域内への投資誘致を続けるのか、それとも競争力強化と景気悪化回避に向けた取り組みを損なうリスクを取るのか、決断を求められていると述べた。
過剰な規制によりEUで事業を展開できなくなれば、最終的には欧州の消費者が悪影響を受けると指摘している。
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