トップニュースTEC台湾エクソソーム株式会社、トヨタ・ホールディングスと提携 世界の再生医療市場を狙う
台湾エクソソーム株式会社とトヨタホールディングス株式会社が共同で「日本エクソソーム株式会社」を設立し、国際戦略的パートナーシップを正式に開始。(写真/台湾エクソソーム提供)
世界のバイオ産業は「目に見えるブレークスルーの波」に入った。エクソソーム技術は「次のAI産業」とも称され、医療のイノベーションを押し広げると同時に、資本市場の熱狂も呼び込んでいる。台湾のTECエクソソーム株式会社(以下、TEC)は、老舗コングロマリットのトヨタ・ホールディングス株式会社(中国語表記:トヨタ控股公司)と共同で「日本エクソソーム株式会社」を設立し、国際的な戦略パートナーシップを本格始動させた。台湾の技術革新、日本の製造力、世界の流通網を束ねた“アジア発の新バイオ連合”として、再生医療産業の勢力図を塗り替えることが期待される。
国際調査では、世界のエクソソーム市場は2024年に45.8億ドル(約6,800億円)、2034年には241億ドル(約3兆5,700億円)規模へ拡大し、年平均成長率(CAGR)は18.3%と予測。市場分析各社は、エクソソームを「AIに続く」投資妙味の高い新興分野と位置づける。再生医療では、エクソソームとNK細胞治療が「二大エンジン」として並走し、国際資金の流入が加速している。
TECは、臨床グレードの「非遺伝子編集・汎用型」NK細胞製造プラットフォームを保有。世界で同様の能力を持つ企業は現在6社とされ、TECはその中で最新の認証取得企業だ。研究チームは10年以上の細胞プロセス開発の実績を持ち、差別化された技術と臨床トランスレーションの力で、海外のバイオ系ファンドからも注目されている。さらにTECは、台湾で初めて衛生福利部FDA(台湾当局)認証を得たNK細胞製造工場を擁し、「免疫細胞製剤」「エクソソームR&D」「産学医による臨床検証」という三つの製造・開発ラインを強みに、がん・自己免疫・神経変性・アンチエイジングなど幅広い臨床領域で、先端バイオの開発力を示してきた。
台日共同で再生医療の新しい時代をスタートさせ、台湾の優れたエクソソームバイオテクノロジーを世界に広げる。(写真提供/台湾エクソソーム会社)
TEC洪奇昌会長「台湾はアジアのバイオ医療イノベーションを牽引する中核」
「日本エクソソーム株式会社」は2025年7月9日に日本での登記を完了。今後は現地市場の開拓を進め、医療機関向けに臨床グレードの細胞製品やヘルス応用の提供を予定する。日台で再生医療の新章を切り開くこの取り組みは、技術交流にとどまらず、「研究開発—製造—臨床—流通」を一気通貫で束ねる戦略同盟だ。今後は日本をハブに、欧州・東南アジアへ展開を広げ、台湾発のエクソソーム・バイオテクノロジーを世界市場へ届ける構えである。
「再生医療二法」の施行や「健康台湾」政策の後押しを受け、台湾のバイオ産業生産額は2024年に1.47兆台湾元を突破し過去最高を更新。ICT、AI、医療リソース統合に強みを持つ台湾は、エクソソームや再生医療でグローバルな競争力を高めている。投資家にとっては、医療技術イノベーションの舞台であると同時に、「バイオの新ブルーオーシャン」への好機でもあり、台湾の生医産業に新たなドライブをかける。TECの林杰良・COO兼CTOは「エクソソームは“細胞間の宅配便”のように生理情報を運び、免疫調整や神経領域で大きな可能性を持つ」と説明。TECは現在、臨床試験グレードのNK細胞を研究用途で提供している。
1. 林口長庚病院:自己(autologous)NK細胞による大腸がんの第I相臨床研究
2.台南・成大病院:同種(allogeneic)NK細胞による膵がん/胆道がんの第I/II相臨床研究
これらの経験を基に研究開発と内外の提携を拡大し、エクソソーム応用の推進を加速。将来的な臨床ケアの革新に結びつけたい考えだ。
エクソソームと再生医療への熱狂は、VCや機関投資をいっそう呼び込んでいる。TECの先端技術と国際協業の青写真は、2025年のバイオ投資テーマとして注目度を高める一方だ。今後、国際バイオファンドや日本の産業資本の参画により、ケイパビリティを増強し、グローバルなバイオ・エコシステムと産業サプライチェーンの構築を進める。高齢化ニーズと「エクソソームの波」が重なり合うなか、台湾の医療産業にとって構造転換の好機でもある。TECは、製品・技術の品質と安全、臨床標準化、人材育成と国際連携を一体で推進し、アジアと欧米市場を結ぶ「再生医療の国際ドライブ・コア」を掲げ、台湾のエクソソーム産業を世界の医療バイオの檜舞台へと押し上げ、ロールモデルの地位確立を目指す。
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