公開日時 2025年10月15日 05:00
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三重県が示した罰則付きカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例の基本方針案のポイント
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琉球新報朝刊
客が従業員らに理不尽な要求を迫るカスタマーハラスメント(カスハラ)をなくすため三重県は14日、全国初となる罰則付き防止条例の制定に向け、基本方針案を県議会の委員会に示した。繰り返しの謝罪や面会の要求など「特定カスハラ」に対し、知事が禁止命令を出しても改善されなければ罰則を科せるよう検討する。2026年度の条例案提出を目指す。
罰則は「50万円以下の罰金、拘留または科料」とする方向で調整している。
県は、カスハラが「採用や人材定着に影響を与えるなど、事業活動に多大な支障が生じている」と問題視。この日の委員会で県議からは、事業者による未然防止の取り組みも必要だ、などの意見が出た。
方針案によると、従業員の離職につながる恐れがあるような悪質な行為を「特定カスハラ」と定義。その上で、正当な理由なく、大声や長時間、繰り返しといった形態で、謝罪や面会、利益供与を要求したり、著しく対応が難しい事柄を求めたりする行為が該当するとした。
有識者でつくる県の審査会が、事業者などからの申告を基に特定カスハラに該当するかどうか協議し、知事が禁止命令の是非を判断。命令後も従わなければ、県が条例違反の疑いで捜査機関へ告発する。
県は昨年、労働団体からの要請を受け、罰則付き条例案に関する議論を始め、業界団体への聴取を通じ、離職や休業を招く深刻な被害実態を類型化した。カスハラ防止条例は北海道、群馬県、東京都で施行されたが、いずれも罰則がない。

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