「マチュピチュ展」が森アーツセンターギャラリー(東京・六本木ヒルズ)で11月22日から開催されます。
本展は、2021年のアメリカ・ボカラトン美術館を皮切りに、世界各地で開催を重ね、各国における開催での累計来場者数は54万人を突破した人気展。ついに日本上陸となります。
本展では、ペルーの首都・リマにあり、世界的にも有名な考古学博物館「ラルコ博物館」が所蔵する貴重な文化財約130点が披露されます。日本初公開となる品々も多く、特に、王族の墓から出土した黄金の装飾品や神殿儀式で用いられた祭具などは、初めてペルー国外に貸し出される展示品です。
また、最新技術を用いて世界遺産マチュピチュを再現した没入型空間や、アンデス神話の英雄「アイ・アパエック」の冒険を軸に展開される壮大な物語にも注目が集まります。
マチュピチュ展
会場:森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階)
会期:2025年11月22日(土)〜2026年3月1日(日)
開館時間:
日〜木 10:00〜18:00(最終入館 17:30)
金・土・祝前日 10:00〜20:00(最終入館 19:30)
休館日:2026年1月1日(木)
観覧料:当日券(平日) 一般2,800円(予定)
※その他の料金は決定次第発表
アクセス:東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口よりコンコース直結・徒歩約3分/都営大江戸線「六本木駅」3番出口より徒歩約6分
展覧会詳細は、展覧会公式サイトまで。
本展の会場構成
【1:イントロシアター】
巨大スクリーンにはアンデスの大自然と天空都市マチュピチュが映し出されます。神話の英雄“アイ・アパエック”の登場とともに、展覧会全体のストーリーが幕を開けます。
【2:アンデス世界】
アンデスの人々が信じていた宇宙観─天空〈ハナン・パチャ〉、現実世界〈カイ・パチャ〉、地下〈ウカ・パチャ〉─という三層に重なる世界構造と、動物の力を借りて異界を自在に行き来するシャーマン(霊的な媒介者)の存在に迫る展示エリアです。アンデス独自の世界観と精神文化を体感していただけます。また、「階段文様と半渦巻きのシンボル」は今回の巡回で初めてペルー国外へ出た作品で、大変貴重な機会です。
<シドニー会場での展示の様子> 2024年 ©MUSEO LARCO LIMA – PERU
<階段文様と半渦巻きのシンボル> 紀元後100–800年 ラルコ博物館所蔵 ©MUSEO LARCO LIMA – PERU
<シャーマンの変容> 紀元前1250–100年 ラルコ博物館所蔵 ©MUSEO LARCO LIMA – PERU
【3:モチェの英雄アイ・アパエックの冒険】
神話の英雄“アイ・アパエック”が挑む戦いと旅の物語を展示します。アイ・アパエック葬送仮面や大きな耳飾りなど、迫力ある造形が神話の世界を鮮烈に伝えます。その他にも様々な生き物の姿に変身したアイ・アパエックの展示品に要注目です。
<シドニー会場での展示の様子> 2024年 ©MUSEO LARCO LIMA – PERU
<アイ・アパエックの顔を表現した葬送用仮面> 紀元後100–800年 ラルコ博物館所蔵 ©MUSEO LARCO LIMA – PERU
<カニの姿をしたアイ・アパエック> 紀元後100-800年 ラルコ博物館所蔵 ©MUSEO LARCO LIMA – PERU
【4:犠牲の儀式】
本エリアでは、神に捧げられた戦士たちの犠牲の儀式を紹介します。儀式の場では、精鋭の戦士同士が戦い、敗者の血が神に捧げられました。この犠牲の儀式は、神々と人間界をつなぐ重要な役割を果たしていたと言われています。金は「太陽の汗」、銀は「月の涙」とされ、それを身につけた戦士や祭司は神の力を帯びる存在と考えられていました。神聖な素材で作られた祭具や装身具から、当時の信仰と死生観が分かる展示となっています。
<シドニー会場での展示の様子> 2024年 ©MUSEO LARCO LIMA – PERU
<シドニー会場での展示の様子> 2024年 ©MUSEO LARCO LIMA – PER
<鳥の戦士を象ったモザイク装飾の耳飾り> 紀元後100–800年 ラルコ博物館所蔵 ©MUSEO LARCO LIMA – PERU
【5:祖先との出会い】
アンデスの支配者たちが、死後に神へと昇華される存在としてどのように葬られていたかを、美しく神聖な副葬品とともに紹介します。10人の支配者それぞれが実際に身につけていた装飾をそのままの姿で展示しているエリアは圧巻です。金や銀に輝くその姿は、祖先がいかに神として祀られていたかを来場者へ静かに語りかけます。
<シドニー会場での展示の様子> 2024年 © MUSEO LARCO, LIMA – PERU
<金属羽飾付き頭飾り前面部> 1100-1470年 ラルコ博物館所蔵 © MUSEO LARCO, LIMA – PERU
<ネコ科動物とコンドルの額飾り> 紀元後100–800年 ラルコ博物館所蔵 © MUSEO LARCO, LIMA – PERU
【6:マチュピチュ】
展覧会の締めくくりとなる本エリアは、インカ帝国の叡智と統治の形を伝える空間です。帝国は、血縁を基盤とした政治制度と官僚機構により多様な文化を取り込み、金細工や建築、灌漑技術を発展させました。中でも象徴的なのが「キープ(結縄)」です。人口や収穫、祭祀の記録を担ったこの“知の結晶”には、人々の暮らしや祈りが込められており、インカ文明の記憶を今日に伝える貴重な遺産です。
<シドニー会場での展示の様子> 2024年 © MUSEO LARCO, LIMA – PERU
本展では、アンデス神話の英雄アイ・アパエックにまつわる伝承をはじめ、アンデス文明の信仰や死生観、そして独自に発展した技術・文化を紹介しながら、神秘の天空都市マチュピチュの姿にも迫ります。展示される約130点の文化財は、日本初公開となる品々も多数含まれており、アンデス文明の精華に深く没入できるまたとない貴重な機会となりそうです。(美術展ナビ)
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