モルガン・スタンレーの米国株チーフ・ストラテジストのマイケル・ウィルソン氏は、米国と中国の貿易摩擦が11月1日までに解消されなければ、米国株は最大11%下落するリスクがあるとの見方を示した。
ウィルソン氏は、投資家のポジション過多や高水準のバリュエーションを踏まえると、市場は調整局面に入りやすい状態にあると指摘した。また、10日からの米中の貿易摩擦の激化は「市場のコンセンサスや我々にとって予想外だった」と述べた。ウィルソン氏は今年、米国株に強気の見方を維持しており、4月の関税ショック後に起きた力強い反発を正確に予測していた。
同氏はリポートで「関連する通商不安やボラティリティーが11月初旬まで続けば、市場は多くの投資家が予想する以上の大幅な調整局面に入る可能性がある」と述べ、S&P500種株価指数について、弱気シナリオなら10日の終値から8-11%の下落に相当する6027-5800ポイントまで下落する可能性があると予測した。

米株式市場は10日、トランプ大統領が11月1日から中国に対して追加の100%関税を課し、重要ソフトウェアの輸出規制を導入すると発言したことで混乱した。S&P500種株価指数は2.7%、ナスダック100指数は3.5%それぞれ下落した。人工知能(AI)関連への期待を原動力に続いていた記録的な強気相場は、いったん停止した。
米ホワイトハウスが中国との合意に前向きな姿勢を示したことで、13日の株価指数先物は反発している。ウィルソン氏はリポートで、貿易摩擦が緩和すれば「段階的な景気回復が再び進み、2026年まで続く」との基本シナリオを改めて示した。また、「このシナリオは、最終的に緊張が和らぐ限りは、今回のような一時的な貿易摩擦の激化に耐えうるだけの強さがある」としている。
原題:Morgan Stanley’s Wilson Says S&P 500 Risks 11% Drop on Trade War(抜粋)

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