中央の背番号2の選手が右手でトロフィーを持ち、左手を上げて口を大きく開けて喜んでいる。その後ろでは多くの選手・関係者らが歓喜の表情を見せている。紙吹雪が舞っている

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画像説明, 優勝トロフィーを獲得し喜ぶイングランドの選手たち

2025年7月28日

サッカー女子の欧州選手権(ユーロ)は27日、スイスで決勝があり、イングランドが劇的なペナルティーキック(PK)戦の末にスペインを下した。イングランドは連覇を果たし、歴史をつくった。

PK戦では、スペインが3本連続で失敗した後、イングランドは前回2022年の大会で優勝を決めるゴールを放ったクロイー・ケリーが登場。見事に成功させ、連覇を決めた。

イングランドが外国で開催された主要大会で優勝したのは初めて。サリナ・ウィーグマン監督は、これでユーロ3大会連続で優勝監督となり(2017年はオランダ、2022年はイングランドを率いて優勝)、世界最高の監督の1人としての地位を固めた。

「ライオネス」の愛称で知られるイングランドはまた、決勝が1回勝負になって以降で、前半リードされながら逆転勝ちした最初のチームとなり、究極のカムバック力を証明した。

決勝はスペインが前半、マリオナ・カルデンテイのヘディングシュートで先制し、主導権を握った。だが、イングランドの勝利への信念は揺るがず、チームが負けを受け入れることはなかった。

イングランドはケリーが途中出場すると、流れが変わった。後半、ケリーが上げたクロスにアレッシア・ルッソが頭で合わせ、1-1とした。

その後、イングランドは深い守備でスペインの攻撃を防ぎ切り、PK戦へと持ち込んで、勝利をつかんだ。

苦しみながら勝ち進む

だが、この大会は苦戦続きだった。グループステージを初戦でフランスに敗れながらも突破。準々決勝のスウェーデン戦は0-2の劣勢からPK戦の末に辛勝した。準決勝のイタリア戦では、延長戦の終了間際に決勝点を挙げた。

今大会の象徴となったイングランドの粘り強さは、他のどのチームにもみられないものだった。イングランドは勝ち方を知っており、これまでもそれを証明してきた。厳しい局面で、それが強みとなった。

ウィーグマン監督はこの夜、スタジアムで最も冷静な女性だったと言える。当初のプランがうまくいっていないことが明らかになると、それを適切に変更した。

そして、この世代のライオネスで最も脚光を浴びてきたケリーが、決勝戦でも重要な役割をしっかり果たした。

スペインは個の力で勝ち進む

ユーロの決勝進出は初めてだったが、ここまで負けなしで、優勝の可能性は濃厚とみられていた。

スペインはスター選手らを軸に試合を優位に進めてきたが、ヨーロッパでのタイトル獲得を目前に、イングランドが立ちはだかった。

スペインはW杯勝者を名乗ることはできるものの、ユーロ覇者の栄光は先送りとなった。

次の目標はW杯優勝

決勝では、ローレン・ヘンプが紛れもなく、イングランド最高の選手だった。右サイドにロングボールを出し、スペインのバックラインにプレッシャーをかけてミスを誘った。特に前半はそれが顕著だった。

もう一方のサイドでは、ケリーが途中出場すると即座にインパクトを与え、やるべきことをやり切った。ゴールをお膳立てし、PK戦で勝利をつかんだ。

ユーロを制覇したイングランドのチームは、帰国後にロンドンで祝賀会に臨む予定。

ウィーグマン監督の契約は、ブラジルで開かれる2027年W杯まで。同大会ではイングランドが初優勝を目指し、スペインは連覇を目指すことになる。

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