台湾ドラマ『零日攻撃 ZERO DAY』の最終回、台湾軍の防衛能力に現実離れとの指摘
中国による台湾侵攻をテーマにした台湾ドラマ『零日攻撃 ZERO DAY』が放送開始以来、大きな話題を呼んでいる。先週土曜に放送された最終回では、台湾軍が小銃のみで大膽島(だいたんとう)を守り切るという展開が描かれ、国際政治学者の方恩格氏も「軽武装で大膽島を防衛できるとは、まさに世界的な軍事の奇跡だ」と評した。
しかし、台湾陸軍の退役少将・栗正傑氏はニュース番組『新聞大白話』で、「私は大膽島で勤務した経験があるが、現実的に小銃で守れるはずがない」と述べ、現場の実情を踏まえた見解を示した。
大膽島は厦門に極めて近距離 「奪島戦になれば中国軍の重兵器が直撃する」
栗氏によると、大膽島の面積はわずか0.79平方キロメートルで、中央には細長い砂浜が広がっている。島は中国・厦門島から極めて近く、過去に島の放送設備を使用した際、金門県教育局を通じて「厦門大学の授業に支障が出ているため、音量を下げてほしい」と要請が届いたこともあったという。
同氏は、「大膽島は厦門からすぐ目と鼻の先にある。もし中国軍が奪島作戦を仕掛ければ、まず二棲(両棲)戦車を送り込むはずだ。軽兵器だけで戦車を撃退できるわけがない」と指摘。さらに「中国軍は武装ヘリコプターも容易に投入できる。二棲戦車と武装ヘリを相手に、台湾軍が軽火器だけで対抗するのは現実的ではない」と述べた。
国防部長「重要なのは警戒と防衛意識の強化」
一方で、同ドラマの内容が「現実離れしている」との指摘が相次いだことについて、台湾の顧立雄国防部長は「ドラマの演出そのものに特別なコメントはしない」と前置きしつつも、「この作品が訴えているのは、中国からの脅威に常に警戒を怠らず、防衛力を強化する重要性だ」と説明した。
顧部長は、「中国の脅威が深化する中で、我々は防衛の回復力を高め、自衛の決意を強化し、統合作戦能力を向上させて祖国を守ることが最も重要だ」と強調した。
元少将「現実の防衛はドラマのようにいかない」
栗氏は最後に、「ドラマのように小銃だけで大膽島を守り抜くというのは“天方夜譚”だ」と述べ、実戦経験から見た現実的な脅威を訴えた。
「大膽島は地理的にも軍事的にも非常に脆弱な前線であり、中国軍が本気で奪島を図れば、軽兵器では到底防ぎきれない。ドラマが警戒心を喚起する意義はあるが、現実の防衛は想像以上に厳しい」と結んだ。
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