子どもへの英語教育熱の高まりとともにインターナショナルスクールや海外留学に注目が集まるようになりました。その選択肢のひとつとして人気が高まっているのが、イギリスのボーディングスクールです。

イギリスで学ぶ小中高の留学生、約700名のサポートを行う英系企業、ピッパズ・ガーディアンズのカントリー・マネージャーを務める黒田よりこさんに、ボーディングスクールの最新事情などを教えていただく短期連載。

ひとことで「ボーディングスクール」と言っても、イギリスにはさまざまなタイプのボーディングスクールがありますが、今回は時にイギリス人でも混乱する「ボーディングスクールの種類」とその教育を特徴付ける方針について教えていただきました。


小学生のプレップスクールは独立系と付属校の2種類。それぞれのメリットは?

日本の小学校にあたる「プレップスクール」は8歳から13歳までが対象、中学高校にあたる「シニアスクール」は13歳から18歳まで、5年間の一貫校となります。

プレップには独立系と付属校の2種類が存在。独立系はインディペンデントと呼ばれ、中学受験を経て13歳(または11歳)でプレップを卒業し、別のシニアスクールに進学します。在校生全員が受験をすることから、独立系のプレップには入試準備をサポートする環境が整っているのが大きな特徴です。

イギリスでプレップとはPreparation(準備)の略。伝統的にプレップは中高一貫校への準備のための学校という位置付けで、今でも私立の小学校は幅広くプレップと呼ばれています。一方で付属校は、日本と同じように多くの生徒が付属のシニアスクールに進学します。

内部進学のための試験はあるものの、独立系の学校に比べ「よりリラックス」した環境であることが大きな特徴で、長きにわたり音楽やスポーツ、アートなど、学業以外の特定の活動をしたいお子さんにぴったりです。


実は留学生には無視できない「フルボーディング生の割合」

ボーディングスクールは「全寮制」と訳されますが、地元の通学生が多く在籍するボーディングスクールもあれば、今では数が少なくなりましたが、全校生徒が寮で暮らす伝統を守っている学校もあります。時代の変化に従って寮との関わり方にも多様性があり、現在のボーディングスクールには大きく分けて3つの種類があります。

(1)週末も寮で過ごすタイプの全寮制「フルボーディング」

(2)週末は自宅で過ごすタイプの「ウィークリーボーディング」

(3)好きな時に寮で過ごすタイプの「フレキシボーディング」

日本からの留学生はおのずとフルボーディング一択となります。ここで大切なのは全校生徒の何%がフルボーディングの生徒であるかを知ることです。フルボーディング生が多い学校は、週末の寮が賑やか。日曜日に学校が映画や遊園地に連れて行ってくれたり、ブランチのメニューが豪華だったり、寮生同士でイベントを企画したり。7日間をまるまる友だちと過ごすことができます。

一方で通学生やウィークリーボーディング生が多い学校は自ずとイギリス人比率が高くなりますが、週末、寮に残る学生のほとんどが留学生となります。学校を選ぶ時にはフルボーダーの割合を参考にすると良いと思います。


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