ベッセント米財務長官は市場の動揺を鎮める「強力ななだめ役」としての実績を重ねてきたが、それが今や問われている。同氏が先週表明したアルゼンチンのミレイ大統領に対する支持にどれほどの価値があるのか、投資家が疑問を持ち始めた。

  ベッセント氏が「安定化のためのあらゆる選択肢」を提供すると約束し、アルゼンチン資産が急騰してから1週間程度しかたっていない9月30日、通貨ペソはドルに対し6%余り下落。下げを食い止めるため、アルゼンチン政府は介入を強いられた。

  だが、ペソは1日も売られ、政府は再度の介入を余儀なくされた。外貨準備に乏しいアルゼンチンが単独で介入を続けていくのには限界があり、米国がどこまで支援を行う用意があるのかに注目が集まっている。

  「このペースの介入は継続不可能だと市場では受け止められている」と、新興国市場取引で30年以上の経験を持つグレーロック・キャピタル・マネジメントのハンス・ヒュームズ会長は指摘。「売りは国内勢主導で、米国のディーラーや投資家はそれに買う向かおうとはしていない」と、ニューヨークを拠点とする同氏は述べた。

Argentina's Peso Is Back Under Pressure

 

 

  ベッセント氏は2日、アルゼンチンについて米財務省は「必要なことを行う用意が完全にある」と発言。また、X(急ツイッター)への投稿では、1日に同国のカプト経済相と電話で話したことを明らかにし、近日中に同経済相がワシントンを訪れ、「金融支援実行に向けた選択肢」に関する協議を「大きく進展させる」予定だと記した。

  アルゼンチンで26日に予定される中間選挙でミレイ氏の「政党はうまくやるだろう」との見方も示し、同氏の経済政策は中南米の「先導役」だと称賛。左派指導者が支配する中南米諸国の多くは、来年あたりに大統領選挙がある。

  ベッセント氏は2日、CNBCとのインタビューで「米国はアルゼンチンに通貨スワップを提供する。お金をつぎ込むのではない」と説明し、「米国第一は米国の孤立を意味しない」と続けた。

  ベッセント氏のXへの投稿を受けてアルゼンチンの2035年償還債はこの日の高値を付けたものの、これ以上の詳細が明らかにされなかったため急速に切り返し、4日続落に向かっている。ペソも下げ幅を広げ、週初からの下げは7%前後に達した。

2025 Atlantic Council Global Citizen Awards

ベッセント米財務長官(左)とアルゼンチンのミレイ大統領(9月24日、ニューヨーク)

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  先月行われたブエノスアイレス州の選挙でミレイ氏の政党が敗北し、アルゼンチン資産に対する信頼感の危機が発生。米国の支援表明は、アルゼンチンで10月後半に行われる重要な中間選挙を前に、トランプ大統領と親しいミレイ氏の支持を押し上げる狙いがある。

  ミレイ氏自身も最近の現地メディアのインタビューで、米国による支援は「地政学的なものだ」と述べていた。だが、この支援で米国がまとまっているわけではない。

  理由の一つは大豆だ。米国産の大豆は貿易摩擦のあおりで最大の輸出市場の一つだった中国から締め出されたが、その空白をアルゼンチン産の大豆が埋めている。このため米国の一部議員は、アルゼンチン支援に乗り気ではない。

  グラスリー上院議員(共和、アイオワ州)は先週、「米国の大豆生産者にとって最大の市場を奪ったアルゼンチンを救済するというのか」とXへの投稿で問い掛けた。

 

原題:Bessent Says US ‘Not Putting Money’ in Argentina, Touts Swaps(抜粋)

WACOCA: People, Life, Style.