写真:CFoto/アフロ
未来に備えた進化のはずだったが・・・
韓国で国民的メッセージアプリといえば、「カカオトーク(通称カトク)」だ。
その存在感は日本における「LINE」に相当し、単なるメッセージの送受信を超えて、人々の暮らしに深く浸透してきた。
友人や家族との連絡はもちろん、ビジネスコミュニケーション、ショッピングや金融決済、さらにはゲームやニュース閲覧まで、生活全般に張り巡らされた「社会的インフラ」と言っていい。
しかし、韓国社会を揺るがす異変が起きた。カトクが15年ぶりとなる大改編を今年実施し、ユーザーの猛反発を招いたのである。
今回の改編の目玉は、従来の電話帳型「友だちリスト」を廃止し、「インスタグラム」に似た「フィード型」タイムラインを導入したことだ。
これまでカトクは、電話番号に基づくシンプルなフレンドリストを強みにしてきた。
ところが新デザインでは、プロフィール写真や投稿が格子状に並び、友人の更新情報が延々と流れてくる。
そこに広告や「おすすめ投稿」が混ざり合うため、利用者は「勝手にSNSに引きずりこまれた」「親しくない人の私生活まで目に入る」と強い違和感を抱いた。
SNS上には「前のシンプルな画面に戻してほしい」という声が殺到し、アプリストアのレビュー欄も批判で埋め尽くされた。
経営陣は今回の改編を「未来に備えた進化」と位置づけている。
AI機能「カナナ」による検索・要約サービスや、チャットフォルダー、プロフィールの多層表現、メッセージ修正機能、ショート動画強化、オープンチャットの拡充など、新機能は目白押しだ。
だが、実際には「必要な基本機能が探しにくくなった」「仕事用の通知が膨大な投稿に埋もれてしまう」といったストレスが広がり、期待とは裏腹に混乱を生んだ。
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