米国政府が台湾に対し、投資と半導体生産を米国へ移し、米国内需要の半分を国内で製造するよう求めている。実現すれば、世界の半導体産業にとって、大きな転換を意味する。

  ラトニック米商務長官は、ニュースネーションとのインタビューで、過度な依存のリスクを減らすことを目的に、台湾と協議していると語った。台湾を自国の領土とみなす中国による侵攻の脅威が強める中、これが唯一効果的な対抗策だとラトニックは主張している。

  ラトニック氏は「台湾には話し合いで、米国で50%を生産することが不可欠と理解する必要があると伝えた」と述べた。米国は半導体チップやウエハーの生産で、国内消費に必要な分の50%程度のシェア確保を目指しているという。

  台湾積体電路製造(TSMC)とその巨大なサプライチェーン(供給網)は、世界の最先端半導体の大部分を製造・供給しており、米国当局者らは長年、過度な依存に警鐘を鳴らしてきた。新型コロナ禍に起きた供給不足では、自動車産業から軍事技術、人工知能(AI)に至るまで、多くの産業を支える半導体のリスクが顕在化した。

  アップルやエヌビディアの主要サプライヤーであるTSMCは、国内製造を呼び戻そうとする米政府の取り組みの中心にいる。TSMCは、米国内の生産拡大に1650億ドル(約24兆5000億円)を投資する方針だ。だが、大規模に生産能力を移転するには莫大な資本だけでなく、同社の生産網を構成する多数の供給業者やパートナーの大規模な移転も必要となる。

  米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先週、米政府が海外半導体への依存を減らす包括的な計画を検討していると報じた。報道によると、企業は輸入と同数の半導体を米国内で生産しなければ、追加関税を課される可能性がある。

  ラトニック氏は「私たちは依然として台湾に大きく依存している。残りの半分なしでは生きられないからだ。われわれの成功ぶりに、皆が驚くだろう」と語った。目標の達成に向け、台湾をどう説得するのかについては言及しなかった。

原題:Taiwan Must Help US to Make Half its Chips, Commerce Chief Says(抜粋)

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