英国本社工場でレストア
3人の子供達の成長を見守ってくれたレンジローバー。家族旅行、キャンプ、スキーと四季折々に活躍し、大里研究所の理事長である林幸泰ファミリーにはなくてはならない、車以上とも呼べる頼もしい相棒であった。
公私ともに英国との深い縁をもつ林ファCOVID-19前の2019年、ジャガーランドローバークラシック(JLR Classic)からリボーンプログラムのお誘いがあり、シャシー#134のダボスホワイトのレストアが始まるはずであった。しかし、パンデミックによりJLR Classic 全てのプロジェクトがストップ。
それから4年。JLR Classicより嬉しいニュースが届いた。1970年にわずか5台のみ製作されたプロトタイプ、レンジローバー・ヴェラール。そのシャシー#1をJLR Classicが保有することになり、現在保管しているシャシー#4を林ファミリーのためにリボーンプロジェクトはどうかと。詳細は『オクタン日本版』Vol.48 p74~80または【こちら】に『Octane』UK James編集長のレポートととして書かれている。
プロジェクトは2024年7月の完成を目指しスタート。Velarシャシー#4には、過去の過酷な耐久試験により現存する最古のローバーのV8エンジンが載せ替えられている。JLR Classicスタッフと綿密な打ち合わせを重ね、オリジナルのスペックを維持しながら、レンジローバーの歴史的遺産として後世に残せるようにした。
フレームボディ構造のため完全にシャシーからレストアを始める。
ボディ部分を組み込みフレームが仕上がる。
エンジンをシャシーに仮搭載。
ボディのペイントを終え、内装と電装部品取付けの作業へ。
JLR Classic工場にたたずむVelar YVB 154H。
英国本社 Gaydonでのテスト走行。
今日、Aston Martin, Bentley, Rolls RoyceなどハイエンドメーカーがそれぞれSUVを手掛ける時代。しかし、その基本的なコンセプトを今から半世紀以上も前にいち早くJLRが描き世に送り出していたのはなんとも驚きだ。その車こそがレンジローバー・ヴェラールなのである。このSUV車の歴史的背景から、2024年8月30日から9月1日にかけて英国Hampton Court Palaceで開催されたConcours of Eleganceにおいて、SUVとして初めてSelected Committeeに招待を受けた。
Hampton Court PalaceでVelarのkeyを渡された納車式。JLR classic Michael Bishopより。
JLR ClassicのDirectorであるPaul Barrittとともに。
Velar完成後の1年間、JLR Classicよりイギリスとアメリカで展示の依頼を受け、快く承諾。とりわけ今年は、Range Rover誕生55周年の記念すべき節目である。8月のPebble Beach Range Rover Houseと、9月のGoodwood Revivalでは、JLR Classic ShowCarとして披露されることになっている。
Velar の初めての運転はGolf 場からHampton Court Palace へ。
名⾞Aston Martin DB4 GT Zagato、Ferrari 250 SWB、AC Cobraと並ぶVelar。
ORIワインでのチャリティ
同じ英国車として、2019年Concours of Eleganceにデビューしたのは、1964年製アストンマーティンDB5である。2010年、当時のAston Martin CEOであるDr.Bezの厚意により、DB5の生まれ故郷であるNewport Pagnell工場で2年間を掛けてフルレストアが開始された。2012年、Queen Elizabeth Diamond Jubileeを祝う年に完成。DB5に付けられたプレートがその歴史を物語る。Velarと同じくGoodwood Revivalでは、Aston Martin WorksのShowcarとしても展示された。
そのDB5は今夏、Aston MartinNagoya Lounge Nightへの展示の依頼を受けた。8月30日、70名のアストンオーナーが集い、DB5とともにAston Martinの歴史とORI (大里研究所)のBIO wine ─ロゼ、シャルドネとピノノワール ─を楽しむ、夏の締めくくりにふさわしい一夜が幕を開けた。
夏の夜にAston Martin Nagoyaのショールームに展示されたAston Martin DB5。
ORI Wine Projectは、シニアの夢、生きがいプロジェクトとして始まった。夏場は高温多湿となる岐阜でのBIO栽培は不可能とされたピノノワールとシャルドネを、非効率農法で栽培する。その出来上がったワインは販売ではなく、チャリティのみに提供。いただいたドネーションは、直接「あしなが育英会」へと寄付され、リタイアしたシニアが育み完成したORI Wineが、未来の日本を支える若者の教育支援につながる世代を超えた贈りものである。
ORI Wine Cloverleaf(白)、Rose ORI(ロゼ)、Herar(赤)
Aston Martin Nagoya前島支店長は ORI Wineの趣旨に賛同し、あしなが育英会に12万円の寄付金を準備。大里研究所と合わせ、50万円をプレゼントすることができた。さらに当夜は、あしなが育英会法人連携課の阿部泰明さんを東京本部から迎え、活動が紹介され、多くのアストンオーナーに理解とサポートを呼びかけた。このLounge Nightでは、とっても嬉しい出来事が。なんと、70名のアストンオーナーの中に、かつて中学.高校時代にあしなが育英会にお世話になった方がいらっしゃったのだ。阿部さんとの会話も自然と弾み、「今の自分はあしなが育英会がなかったら存在しない」と語り、最幸の夜となったのだ。
あしなが育英会阿部泰明さん(左)、大里研究所の林幸泰理事長(中)、Aston MartinNagoyaの前島支店長(右)
文・写真:大里研究所 Words and Photography:Osato Research Institute
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