「放浪の天才画家」として知られる山下清の生誕100年を記念した特別展が甲府市の県立美術館で開かれています。

山下清は日本各地やヨーロッパを旅しながら、そこで見た風景を驚異的な記憶力で心に焼き付け、手で細かくちぎった色紙を貼り合わせる「貼り絵」で表現した作品で知られています。

会場には、貼り絵のみならず、初期から晩年までのペン画や水彩画などさまざまな技法の作品およそ190点が展示されています。

このうち、昭和25年に制作された「長岡の花火」という貼り絵は、夜空に上がる花火や会場を埋めた観客の様子を細部まで表現しています。

また、昭和36年に初めてヨーロッパを旅行し、各地の風景を描いた作品もならび、「パリのサクレクール寺院」という貼り絵は多彩な色紙を使い分けて繊細なタッチで貼り込んでいるのが特徴です。

このほか、会場には放浪中に使用したリュックサックや浴衣なども展示されています。

山梨県立美術館の高野早代子学芸員は、「貼り絵の味わい深さは間近に見ないとなかなか分からないので、直接見て楽しんでもらいたい。『山下清』というとドラマや映画のイメージが強いが、本人は作家としての自分を見てほしいという思いがあり、それを作品から感じていただけると思う」と話していました。

特別展は11月24日まで開かれています。

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