ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.09.26 14:58
#大邱(テグ)で電気自動車モーター用レアアース(希土類)永久磁石を生産するソンリム先端産業は来月にも工場の稼働を中断しなければいけない状況だ。4月4日に始まった中国の重レアアース7種輸出規制で核心原材料のジスプロシウム(Dy)・テルビウム(Tb)の輸入量が急減したからだ。過去5カ月間に中国から輸入した量は必要量のわずか2.5%(100キロ)にすぎなかった。焦りを感じた企業は世界を回って埋蔵地を物色し、最近、東南アジアで鉱山1カ所を見つけた。しかし契約資金を調達するため国策銀行に金融支援(貸出保証)を要請したが、「鉱山関連の売上がない」という理由で拒否された。業界関係者は「企業の事情を分かってくれない」と吐露した。
#防衛産業の大企業に軍事用永久磁石を納品する慶尚北道の中小企業A社も最近、原材料不足で生産中断を検討している。同社が生産するサマリウムコバルト永久磁石は戦車の駆動系や防空迎撃システムレーダーなどK-防衛産業の輸出品に入る核心部品だ。A社は納品先の大企業に共同対応を要請したが、まだ反応がない。業界では「中小企業が倒産すれば次は大企業かもしれない」という懸念の声が出ている。
中国のレアアース輸出規制が5カ月間続き、関連企業の問題が拡大している。重レアアースは電気自動車や防衛産業など戦略産業の必須素材だが、政府はただ腕組みしているという指摘が出ている。
グローバルサプライチェーンで中国の影響力は絶対的だ。コンサルティング会社アリックスパートナーズによると、中国は世界レアアース輸出の70%、精製能力の85%、合金生産の90%を占める。特に今回の規制対象の重レアアース7種(サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム)の中国産の比率は97%だ。
このうち核心は電気自動車モーター用ネオジム永久磁石の磁性維持に必須のDy・Tbと軍事用サマリウムコバルト永久磁石に入るサマリウム(Sm)だ。韓国材料研究院のキム・テフン博士は「Dyなど重レアアースを確保できなければ自動車産業にも支障が生じるかもしれない」と強調した。Smは軍事用モーターが耐えるべき高温環境でも磁性を維持する。
問題は国内の企業がこれら原材料を確保するのが難しくなっている点だ。輸入量が急減したうえ、1週間で終わっていた通関が2カ月以上かかる。中国海関総署によると、中国の月間レアアース輸出量は6月の7742トンから7月は5994トン、8月は5791トンに減少した。
防衛産業業界も状況は同じだ。防衛産業の部品会社は中国で完成品形態の永久磁石を輸入してきたが、中国が4月から完成品の輸出までも統制した。現在は一つ一つ許可を受けて少量輸入する方法で対応している。尚志大のチェ・ギイル軍事学科教授は「中国が輸出を完全に禁止すれば、K-防衛産業は深刻な打撃を受ける」と話した。
被害は中小企業が大きい。大企業はレアアースを事前に備蓄しておいた半面、中小企業はそのような余力がなく生産の支障につながっている。レアアース部品の納品を中小企業から受ける大企業は事情の深刻性を実感していないという指摘もある。ある中小企業の関係者は「大企業は納期の遵守だけに関心があり、原材料の需給は『あなたたちの事情』という態度だった」とし「資本力がない中小企業であるほど輸出規制に対応できない」と吐露した。
こうした状況を迎えても政府が見えないという指摘が少なくない。韓国鉱害鉱業公団はレアアースを一部備蓄しているが、弥縫策に近い。昨年政府が設立したサプライチェーン安定化基金(約10兆ウォン、約1兆円)は海外鉱山に直接出資できず、公団も李明博(イ・ミョンバク)政権当時の海外資源開発成果が論議を呼んで以降、海外鉱山への投資権限がふさがった。
半面、米国や日本はレアアース確保のため政府が奔走している。米国防総省は7月、レアアース生産会社MPマテリアルズの株式15%を取得し、サプライチェーン再建に入った。日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2023年、オーストラリアのマウントウェルド鉱山に民間企業と共同で2億豪ドル(約200億円)を投資し、生産量の65%の優先供給を受けた。
ソウル大のカン・ジョンシン・エネルギー資源工学科教授は「政府が国策銀行・民間と共に海外鉱山に長期投資し、少なくとも10年以上の安定した調達先を確保することが必要」とし「同時にレアアースの使用を減らす次世代永久磁石の開発にも果敢に投資する必要がある」と提言した。
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