掲載日

2025年9月25日

年末商戦期「ゴールデン・クォーター」を前に、英国のファッションメーカーは、出荷の遅延と需要の高まりに対応すべく、在庫を積み増すという「戦術的」な先手を打っています。

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在庫管理ソフトウェア・プラットフォームであるUnleashedの四半期レポートによれば、衣料品・靴・アクセサリーのメーカーは、リードタイムが第1四半期から第2四半期にかけて13日延びるなか、商品の供給確保とサービス水準の維持を図って在庫を積み増しています。

また、同レポートによると、中小企業の2025年第2四半期の売上高は48万ポンドで、前年同期比109.28%増だった一方、前四半期比では18.9%減少しました。

同時に、リードタイム(日数)は前四半期の19日から32日に増加しました。

一方、購買発注(PO)件数は前年同期比37.85%増となり、前四半期比でも大幅に増加しました。本報告書(英国の600社超のデータに基づく)では、購買の急増に伴い過剰在庫額も増加し、前四半期の24,920ポンドから88,371ポンドへと3倍以上に膨らんだと指摘しています。

利益率(人件費を除く売上総利益率)も、前四半期比でわずかに4.37ポイント、前年同期比で2ポイント低下しました。

Unleashedの親会社The Access GroupのERPスモールビジネス部門のゼネラルマネージャー(GM)、Joe Llewellyn氏は、「『慎重なバッファリング』への動きは、今後数カ月間に想定されるさらなる供給面の課題を乗り切るのに役立つはずだ」と述べています。

「POと在庫水準の上昇は、ファッションメーカーにとって戦術的な方向転換を示しており、特にブラックフライデーやクリスマスを控えるなか、遅延や在庫切れのリスクを軽減するための『慎重なバッファリング』を狙ったものです。

多くの場合、これは市況に対する拙速な反応ではなく、熟慮のうえの対応です。メーカーのデータドリブン化が進むにつれ、予測精度を高め、在庫調達の意思決定に伴うリスクを低減できるようになります。

また先行きを踏まえると、『メーカーは2025年を良好な形で終えられるとの有望な兆しがある』と言えるでしょう。

売上は堅調で、別の統計では企業の景況感が今年は四半期ごとに着実に上向いていることも示されています。イングランド銀行は金利を4.25%から4%に引き下げ、インフレ率は目標の2%を下回る見通しです。これらを総合すると、マージンの回復と選択的な成長に寄与し得るでしょう。」

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